スナヅル Cassytha filiformis クスノキ科 スナヅル属
スナヅル Cassytha filiformis

 沖縄の海岸にネナシカズラのような植物が繁茂していた。遠目に黄色に見えたので、アメリカネナシカズラではないか、と思いながら近づいたのだが様相はことなっていて、スナヅルであった。スナヅルは熱帯の海岸に広く分布し、日本では九州南部から琉球列島に分布する。英語名はLove-vine;愛のツルという訳になるが、媚薬として使われることがあったことによるそうだ。

 スナヅルは、なんとクスノキ科に所属されている。根も葉もないという共通性を持つネナシカズラヒルガオ科であり、他人の空似ということになる。アメリカネナシカズラが巻きつきたがっているのに比べ、伸び方はやや直線的で、茎はやや硬い。クスノキ科には寄生というライフスタイルを持つ植物は、他には無いように思う。ツル・寄生という他人に頼る生活は、どのように進化したのか興味深い。
 
スナヅル Cassytha filiformisスナヅル Cassytha filiformis

 茎の直径は太めの印象で、直径1〜2mmほど。数cmの花序を伸ばし、直系数mmの花を付ける。果実の直径は5mmほどで、熟すと先端部が開口し、黒い種子が出てくる。印象としては大きな種子。芽生えて寄生する植物にたどり着くまでのエネルギーを蓄えておく必要がある。
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