タイワンクズ Pueraria montana (マメ科 クズ属
 10月の21日、学会の前日に那覇の首里城を散策していると、クズの群落が見えた。遠目に見ていると花序が葉群から突き抜けて高い。そして花の色が薄い。遠いので望遠で拡大してみるが、もう1つよくわからない。末吉公園付近で間近に見ることができた。葉の色はやや濃くて小さく、花の色は薄い紫色でクズとは違うことを確信した。

 学会で尋ねるとタイワンクズということであった。花が咲いていない時期では、葉の小葉に湾入部が無いこと。今までに結構沖縄に来ているのだがタイワンクズの記憶が無い。以前の画像を調べてみたが、撮影していなかった。どうやら、どこにでも見られるというものではないように思う。つまり、西日本の温暖な低地におけるクズの侵略的繁茂状況に比べ、おとなしく感じるのである。これは本種の特性なのか、台風常襲地帯のためなのか、他の植物のほうが元気なのか、どうであろうか。

 大川・林(2016)はタイワンクズを常緑のツル性木本〜草本としているが、多年草としているサイトが多い。分布は奄美大島以南の琉球列島、台湾、中国などの南西アジアであることから、所によっては常緑のツル性木本であり、分布の東北端では多年生草本といった感じなのであろう。常緑であるために落葉性のクズよりもおとなしいに違いない。

 クズとタイワンクズは学名の取り扱いもあって混乱が見られ、タイワンクズのサイトを見ているつもりであったのが、いつの間にかクズの記述内容に摩り替わっている海外のサイトが結構ある。交雑することもその原因の1つらしい。これらの仲間の英語名はkudzu。
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