ニュージーランドクリスマスツリー Metrosideros excelsa
 ニュージーランドクリスマスツリーはニュージーランド原産(おそらく北島)で、現地語ではPohutukawa(ポフツカワ)。海岸に生育するそうだが、美しい花を咲かせることから公園や街路に植栽されている。自然の状態での生育地は見ることができなかった。

 オークランドの市街地付近にある低い火山の丘から眺めると、赤い花がたくさん咲いていた。風があり、葉が翻って白い裏が見えている。葉の裏面には白毛が密生しており、風が強いときには葉の裏を表側に晒してしまうことによって、受ける光の量を少なくする戦略であり、風の強い海岸付近では有効な戦略であろう。

 花を手に取ることはできなかったが、望遠で引き寄せて見ると、フェイジョアなどとそっくりであり、フトモモ科であることがわかる。ニュージーランドでは真夏、クリスマスの頃に花が咲く。サンタクロースのイメージと赤い花の色が重なるのであろうか。ポインセチアなどと同様に亜熱帯のクリスマスのイメージである。オークランドの緯度は南緯37度ほど。月平均気温は最寒月で11度、夏で15度ほどの年間で安定した気温。降水量も年間あまり変化がなく、1200mmほど。零下になることがないので、常緑樹の世界である。

 小高い丘で見たときには花盛り。オークランドを歩くときにも期待していたのだが、ほとんど花が終わっていた。わずかな高低差で花期が大きく影響を受けていた。意外と花期が短いのかもしれない。町を歩いていると幹からたくさんの根を出していた木があった。葉を見るとこれもニュージーランドクリスマスツリーであった。このような性質があるのであれば、繁殖は簡単なのであろう。
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