ギンブナ Nothofagus menziesii (ナンキョクブナ科 ナンキョクブナ属) |
Silver beech という英語名は、ギンブナと訳す以外になかろう。ギンブナと検索すれば、魚のフナばかりが出てくる。シルバービーチという書き方もあろうが、海水浴場がでてきてしまう。 ギンブナはニュージーランドの固有種であり、他のナンキョクブナ属の種に比べて樹皮が白っぽいことに由来するのではないか、との記載があるがよくわからない。ニュージーランドの最高峰、クック山(3754m)のふもと、クック村に到着したのは12月31日、時計としては夕方。明日のトレッキングの打ち合わせの後、どこか見られる所はないかと聞くと、紹介してくれたのがこのGovernor's Bush。サマータイムの時計で、夕方6時からのトレッキング出発となった。したがって、下の画像は一番上を除いて夕方7時(サマータイムなので本来は8時)頃の画像であり、光量不足・色調の偏りをご容赦いただきたい。 走るバスの中で、山も含めて強度に改変された牧草地や放牧地であってうんざりしていたが、この地域だけ樹林が保護されており、かなりの樹高の樹木が生育していた。少々雰囲気が違うが、すばらしい森であった。違和感は亜高木の少なさであり、これはブナ林との共通性である。高木のすべてがギンブナであったのかはわからないが、少なくとも下から見上げた葉は同じであったように見えた。 ギンブナは樹高30mにもなり、葉は常緑で小さく、長さ幅ともに5〜15mm程度で重鋸歯。見かけたナンキョクブナの多くはこのギンブナであったように思う。若木の樹皮はサクラあるいはカバノキに似ており、赤紫で皮目が目立つ。ある程度太くなってもサクラのような樹皮が残り、直径50cmを越える頃になるとはがれてやや白っぽい樹皮になるが、さらに大きくなるともう少し黒っぽくなるように思う。南緯45度前後、海抜は800mの平原からの山なので、北海道であれば常緑針葉樹林の発達する立地であるはず。しかしながら常緑広葉樹林が発達していることになる。年間降水量は4,100mmほど、温帯降雨林という解説もあったが、さてどうなんだろう? ちなみに、最も寒い7月の平均最低気温は-3℃、平均最高気温は6℃だそうだ。山の上は当然零下であろうが、この谷の平原ではあまり雪は積らないのかもしれない。 |