アツミゲシ Papaver setigerum DC. (ケシ科 ケシ属
 アツミゲシはナガミヒナゲシと同様に地中海沿岸原産の帰化植物。麻薬成分を含んでいるので栽培が禁止されている植物であるが、時折路傍などに生育しているのがみられる。数が増えて目立つようになると保健所などからの駆除キャンペーンが行われる。駆除されるので群落を作って広がることは少ないが、花が結構美しいのでなかなか絶えない。今年見かけた場所は県庁周辺と自衛隊施設の前であった。麻薬を作ろうとする人はいないかもしれないが、要注意である。
 草丈は70cmほどになり、ナガミヒナゲシより大きくなる。剛毛が散生するがまばらである。春から初夏にかけて薄紫の花を咲かせる。花弁の基部には濃い赤紫の紋様があり、花弁が4枚であることがわかる。果実は丸く、編目紋様のある種子がたくさん入っている。
 名前の「アツミ」は、「厚実」かと思っていたが(ナガミヒナゲシが長実なので)、渥美半島で最初に見つかったからという。帰化植物に最初の発見地の名前を付けるとその後の分布拡大で、なんのことかわからなくなってしまう。地名を付ける場合には、地域固有種だけにして欲しい。
アツミゲシの花アツミゲシ
アツミゲシの茎葉アツミゲシの若い果実
アツミゲシの若い果実稔った果実編目紋様のある種子


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