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イワガサ Spiraea blumei (バラ科 シモツケ属) |
イワガサは本州の近畿地方以西、四国、九州に生育する落葉低木。山地や海岸の岩場に生育する。高さは2m程度で、一見すると同属のイブキシモツケと似るが、若枝や葉裏に毛の無いことから区別される。 画像は香川県小豆島にて撮影した。小豆島の中央部、海抜800mに達する星ヶ城山の山腹には、奇岩の散在する雄大な渓谷、寒霞渓がある。ここは遥か昔の大規模な火山活動に由来する溶岩台地が、長い年月で侵蝕されて出来上がった、言わば大自然の作り上げた彫刻群である。このビックリするほど急峻な崖地が続く渓谷の岩肌に、イワガサが張り付くように生育していた。 イワガサが生育する岩の表面は、普通の岩に比べて柔らかで、根堀で簡単に削ることが出来た。まるで砂を固めたような岩である。多くの崖地は一見するととても乾燥しやすく、植物の生育には不向きな気もする。しかし、地質によってその性質は大きく異なるようで、寒霞渓に分布する凝灰角礫岩等は、意外に水もちが良いものの様だ。それにしても、水の乏しい立地であることは明白であり、ここに生育する植物は、乾燥に対しての対策は万全なはずである。イワガサも常緑広葉樹のような艶の有る革質の葉を持つなど、乾燥対策に抜かりは無いようである。 |
文章・画像:森定 伸 |