ノラニンジン Daucus carota (セリ科 ニンジン属
 北海道の高速道路、道路脇のガードレール越に白い花が群れ咲いていた。ノラニンジンである。道路工事を行うなどの撹乱から少し経過したような立地で至るところで繁茂している。ノラニンジンはヨーロッパ原産とのことであり、ヨーロッパのみならず、カナダなどの北アメリカにはポピュラーな植物である。道路工事の跡や閉鎖された温泉ホテルなどでの密生状態は帰化植物としての傍若無人な振る舞いであるが、芝生などに咲いているノラニンジンは風情がある。平凡社の図鑑には一年草または多年草と記載されていた。ニンジンほどには根は肥大しないそうであるが、生育状況から見れば、多年草と思えた。英語名は Wild carrot。

 ノラニンジンはニンジンの原種であるとの意見もあるそうで、確かに葉はそっくり。残念ながらニンジンの花を見たことがないので、花に関しては似ているかどうか、確かめるには年月とチャンスが必要である。草丈は50cm程度から1mを超えるものも結構多い。7月から8月に枝分かれした茎の先端に副散形の花序という表現になるが、複数回分かれた花序、花火のような花序が集まって、1つの大きな花序を形成している。最初は手まり状のツボミ花序が平らに開き、果実が形成される頃には再び手まり状となり、稔って散布したい頃には再び大きく開く。
ノラニンジン Daucus carota
ノラニンジンの花序十分に開いた花序では、たくさんの小さな花序が集まって全体を形成していることがわかる。
外側の花序では、周辺の花の花弁が大きい。ノラニンジンのツボミ;大きな苞葉が目立つ
果実を稔らせつつあるノラニンジン茎と毛
葉の表拡大葉の裏面拡大
ノラニンジンの葉
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