タチツボスミレ Viola grypoceras (スミレ科 スミレ属)
 タチツボスミレは北海道から沖縄まで、ほぼ全国の山地に分布する多年草。国外では朝鮮半島付近の島々に知られるのみであり、分布上からも個体数からも日本を代表するスミレと言える。海岸線から海抜2,000mの高所まで、ほとんど立地を問わずに生育しており、地域ごとの形態の変異も多様である。
 花期は3月上旬から5月下旬。早春の林内を散策していて、最も目に付くスミレは本種ではないだろうか。岡山県内の山地林内で見かける代表的なスミレは、本種のほかにナガバタチツボスミレコタチツボスミレがある。ナガバタチツボスミレとは三角形状の葉が無いこと、コタチツボスミレとは心形の葉がほとんどであることから区別される。とは言うものの、スミレの仲間は花期と果期では葉の形が全く異なる場合が多く、同定はなかなか難しい。
タチツボスミレタチツボスミレ
花のアップ花の側面
葉の表面、光沢が無い葉の表面

文章・画像:森定 伸

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