モンパノキ Heliotropium foertherianum (ムラサキ科 キダチルリソウ属
 モンパノキは小笠原、奄美・琉球列島、熱帯アジアの海岸に生育する常緑の木本植物。砂浜の海岸から少し高くなった場所に見られることが多い。奄美大島ではなかなか出会えないが、沖縄ではかなり普通。葉は両面にビロード状の毛が密生しており、これが紋羽(モンパ)の由来であるとか。このような毛は、海水の飛沫による塩害から免れるには有効な手段であろう。また、南国の強すぎる日照を和らげる機能もあるかもしれない。葉は卵円形からしゃもじ型で長さ20cm程度。日照が強い(風当たりが強い?)場所では短くなる。肉厚で、食べられるかもしれないと思えたが、試してはいない。

 モンパノキの花や果実を見たとき、タコノアシを連想してしまったが、ムラサキ科でまず納得、スナビキソウ属との図鑑を見て更に納得した。葉や花がスナビキソウにそっくりといわれれば、まさにそうである。しかしながら、キダチルリソウ属へと所属されたようだ。学名は Agrusia argenteaMesserschmidia argentea などの異名がネット上で、あるいは図鑑などでも記載されている。
 花や果実の画像は7月〜9月の撮影(沖縄本島)。花が咲いているものもあれば、果実が稔っているものもある。南国らしく、開花結実に幅がある。

 海岸植物であるので、オーストラリア北部、ミクロネシア、ポリネシアなどを含む熱帯アジアに分布する。英語名はvelvetleaf soldierbush, tree heliotrope, octopus bush;ビロード軍服の低木(?)、この仲間がヘリオトロープなので、木生のヘリオトロープ、八本足(タコ)の低木などの訳になる。ビロード状の毛、果実が稔った様子がタコというのが着目点である。
種名一覧科名一覧雑学事典目次Top