ハートリーフ・アーニカ Arnica cordifolia (キク科 ウサギギク属
 カナディアンロッキーの針葉樹林の登山道を登っていくと、黄色いキクが咲いていた。エンゲルマントウヒなどの常緑針葉樹がまばらとなり、タカネカラマツに代わって林が明るくなると、一挙に黄色い花が増えてきた。特にカラマツが枯れて疎林となった場所ではたくさんの草本が美しい花を咲かせて「お花畑」となっていたが、このハートリーフ・アーニカが最もたくさんの花を咲かせていた。カラマツが生育しなくなった森林限界よりも高い場所でも群生が見られた。

 heartleaf arnicaはアラスカからカリフォルニア、ニューメキシコなどの北西アメリカに生育する。根生葉は心臓型で、英語名の由来となっている。50cmほどの花茎を形成するが、茎葉は対生してやじり型となるが、もっとも上の茎葉の部分がウサギの耳のイメージとなり、属名となっている。多年生の草本で、風散布の種子を形成するが、地下茎でも増殖して群落を形成する。林野火災によって地下茎から回復して繁茂するとのことで、これも山火事生態系を構成する植物なのであろう。自然性の高いカナダ・ロッキー山脈であるが、結構な頻度での火災があるのかもしれない。
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