オオハンゴンソウ Rudbekia laciniata (キク科 オオハンゴンソウ属
 オオハンゴンソウは北アメリカの原産で、日本には園芸植物として明治時代に導入された。その後河辺や草原・荒れ地などに広がり、北海道から本州の中部以北の地域を中心に広く帰化している。道路周辺の排水不良地などで繁茂しているのを見かけるが、湿原の周辺などに繁茂して在来種の生育に大きな影響を与える可能性があることから、特定外来生物に指定されている。
 草丈は2mを越え、種子とともに地下茎で繁殖する多年草である。葉は羽状に5〜7深裂し、葉の形がハンゴンソウに似ていることからオオハンゴンソウの和名をいただいた。しかし、花の形は大きく異なっており、別の属である。花は7月から8月にかけ、大きな花を咲かせる。花弁がやや垂れる傾向があり、単一の花序としては少々だらしない印象がある。
 湿原の周辺などにも侵出して問題になる例も多く、特に一度開墾などされた場所では群落を形成しやすい。地下茎でも増殖できるので高さ2mほどの密な群落を形成して在来種を駆逐したりする。昔、たびたび調査していた日光の戦場ヶ原周辺では水路の周辺を中心にオオハンゴンソウが繁茂し、ホザキシモツケなどの群落が覆い隠されてしまうほどの状況であった。このため、オオハンゴンソウ退治のイベントが企画されたが、草抜きの作業によって湿原が撹乱され、更なるオオハンゴンソウの繁茂を引き起こす、悪循環ともいえる状況が発生した。オオハンゴンソウが侵入してしまうと、根絶は困難であるので、侵入に気付いたら早期に対処したい。
 上の画像は北海道利尻島の南浜湿原の画像である。湿原全域にオオハンゴンソウが侵入しているわけではないが、一部にオオハンゴンソウが繁茂した地域があった。恐らく開墾などの経歴を持つ場所であろう。ヨシもオオハンゴンソウの繁茂にタジタジといった状況であり、駆除は大変そうである。
 最下の画像は世界遺産白川郷の画像。電柱が無粋であるのは誰しも感じることであるが、オオハンゴンソウの繁茂に関しては、反応は人様々である。美しさを愛でつつ通り過ぎる人も少なからずあったが、私にとっては困った姿であり、日本古来の民家と帰化植物の組み合わせは美しくない。
北海道利尻島南浜湿原
オオハンゴンソウ Rudbekia laciniataオオハンゴンソウ Rudbekia laciniata
オオハンゴンソウの茎葉オオハンゴンソウの茎葉
白川郷の放棄水田に繁茂するオオハンゴンソウ
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