イワタバコ Conandron ramondioides (イワタバコ科 イワタバコ属) |
イワタバコは本州、四国、九州、南西諸島に分布し、台湾にも見られる多年草。谷間の湿った崖や水の滴る岩壁に着生する。葉は根生して垂れ下がって生えている。 葉身は普通長さ6-15cmだが、50cmにまで成長するものもある。葉はしわのある楕円状卵形で先は鋭くとがり、基部は翼をもつ柄に連なる。縁には不ぞろいな鋸歯がある。 8月頃に高さ10-20cmの花茎を出して花をつける。花冠は径約1−1.5cmで5裂し筒部は短い。雄ずいは5個あり、花冠の基部に着き花糸は短く、葯は直立している。 イワタバコが群生している岩場では紫色の星があるようで、薄暗い場所だが目が覚めるようだった。タバコに似た葉をもつので「岩煙草」と名付けられた。タバコにはならないが、若葉は山菜として食べられる。 イワタバコ科の中心分布は熱帯・亜熱帯地方であり三千を越える種を持つと言われているが、日本に生育しているのはその中の数種だけである。園芸品種では桃・白色があり栽培されている。 |
文章・画像:石川 笑子 |