ミゾホウズキ Mimulus nepalensis var. japonicus (ゴマノハグサ科 ミゾホオズキ属
 ミゾホウズキは北海道から九州、朝鮮南部・台湾に分布する柔らかい多年草。茎は地際で分枝し、お互いが支え合ってかろうじて立ち上がっている。葉は長さ1〜4cm。3〜4対の鋸歯がある。花は6月〜8月に、茎の上部の葉腋から細い柄を出して咲く。筒状の萼には隆起した筋があり、花冠は長さ10〜15mmで黄色。
 ブナ林域の沢筋、オタカラコウやミヤマシラスゲなどの生育する湿地にミゾホウズキが群れていた。残念ながら梅雨のさなか、花は十分に開いていなかった。葉を見ると、すべての鋸歯の先端に水滴が付いている。空気中湿度が高いので、鋸歯の先端から余分の水を排出しているのであろう。すべての植物の葉に備わっているのではないらしいが、葉には余分の水分を放出する「水孔」がある。根で吸収した水は、普通は気孔や植物体の表面から蒸発して失われるが、根から活発に吸水しているにもかかわらず、空中湿度が高いために水分が蒸発していかないと、水孔から水分が押し出されてくることになる。早朝の葉ではよく見られるが、真昼での水滴は、梅雨のさなかならではあろう。ミゾホウズキの葉を眺めていると、鋸歯は排水口の突端ではないか? と思えてくる。
ミゾホオズキの花ミゾホオズキの若い果実
ミゾホオズキの群落鋸歯の先端に水玉をためた葉


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