アツバキミガヨラン Yucca gloriosa (キジカクシ科 ユッカ属
 アツバキミガヨランは北アメリカ南部原産の常緑低木。属名でユッカと呼ばれることも多い。元来は半砂漠に生育する植物であろうが、温暖な地域で庭園などに植栽されている。葉は厚くて堅く、長さ60〜80cm。先端は鋭い棘となっており、危険である。昔は侵入防止などの目的で植栽されたこともあった。公園などに植える際には、葉の先端を切り取ることも行われている。古い葉が枯れたまま幹に残るが、これを切り取る作業には相当な覚悟が必要である。

 5月から6月および秋に高さ1m以上の大きな花序を出す。花は秋のものがやや赤みがかる。花が開ききらないのが残念な点である。中を見ると太い6本の花糸の先端に小さな葯がある。雌しべは3本に分かれている。

 アツバキミガヨランは花が咲くと、よく倒れてしまう。茎の太さの割に大型の花序を付けるからであるが、倒れると地面に付いた所から根を出すので、結果的には勢力拡大になる。最近は一時ほど人気が無いようであるが、幹を切り取ってしまっても、地際からたくさんの萌芽がでてくるので、結構しつこく生き残っている。

 英語名はたくさんあって、古くから植栽されて親しまれてきたのであろう。palm lily や tree lily はヤシのユリとか木生ユリであり、ユリのような花を咲かせる木という名前で、ある意味普通であろう。Spanish-dagger は「スペインの両刃の短刀」、Adam's needle は「アダムの針」であり、葉の形と先端の棘の鋭さを表している。mound lily は「荒れ地の山のユリ」であろうし Sea Island yucca は「海岸や島に生育している」という生態的な観点からの名前である。Lord's candlestick は「偉大なる指導者(神)の燭台」という訳になる。宗教教的には、見事な花序がキャンドルディスクのイメージがあり、キミガヨランという和訳になったとの記述もある。まさにgloriosa である。
アツバキミガヨラン Yucca gloriosa アツバキミガヨランの花序
花はあまり開かない葉の先端は鋭い棘
雄しべは6本、雌しべの先端は3裂雄しべは6本、雌しべの先端は3裂
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