アオカモジグサ  Agropyron ciliare var. minus (イネ科 カモジグサ属
 アオカモジグサは北海道から九州、朝鮮・中国に分布する多年生の草本。道端や畦、草原などに生育している。同属のカモジグサと似ているが、花は緑色である。緑色であるのに青カモジグサとは奇異な感じがあるが、古語では青とは緑を含む青〜緑の系列の色を意味していた。たしかに近くの森は緑色であるが、遠くの山々は青みがかっている。どちらも同じ系統の色ではある。このような経緯から、緑色のカモジグサがアオカモジグサ、青みがかったのがカモジグサという名前で呼ばれることになった。現在では紛らわしいことこの上ない。
アオカモジグサ  Agropyron ciliare var. minus
開いた直後の花アオカモジグサの花序
稔った果穂葉鞘と葉身の移行部
白緑色の葉の表側裏が表になっているアオカモジグサの葉
 葉を効率よく光に当てるために、葉の位置を調整する必要がある。そのためにも投資が必要であり、できればそれを節減したい。イネ科の植物には、葉の裏面を上側にしているものが結構ある。上の画像もそのような状況を示している。葉の表は白緑色で、裏面はきれいな緑色である。深い緑色は光をよく吸収する結果であり、白緑色の葉は光を散乱させる結果であり、強すぎる光を散乱させて弱める効果となっている。アオカモジグサの葉は、裏面を上側に向けて裏面から光エネルギーを吸収していることになる。これらの仲間の葉は、葉鞘から葉身に移行するが、強風が吹くなどすれば、葉は強く葉鞘を引っ張ることになり、葉鞘が割れてしまう危険性がある。葉の裏を上側にするように位置させれば、葉身への移行部分を補強する必要がなく、投資を最低限にすることができるのではなかろうか、と考えている。
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