3.コケのアセスメントに関して

感想/意見

・プロポーザルにコケを取り上げるのは有効だと思う.その場合,その地域のコケに関する文献を収集する必要がある.その辺りを段取り良く行える体制作りをしなければならないと感じた.方法書などにも積極的に取り上げたいと思う.


・日頃から少しでも,コケをチェックし同定のコツを身に付けていくことが必要と思う.


・今回の研修は,コケ調査への入り口としていい機会だった.


・現状の話を聞くと,コンサル側の力も足りない分,研究者にずいぶん負担がかかっているのだと改めて思う.


・発注者側の準備も十分ではないので,今のうちにコンサルが現地である程度作業できるようになり,提案していけるようになれば,調査の体制が整うのではと感じた.


・的確に採集できる人が少ない現状では,RDB種の抽出に重点を置きがちな調査手法だと,コケ評価を一般的に広く実施したとして,精度を保つのが難しそう.


・実際に現場で精度を保つのが難しいと思った.RDBのコケが出そうな場所を数ヶ所という調査は可能かもしれないが,そういうコケについての場所の感覚がある人が少ない所(会社)は難しいだろう.


・コケが微環境にかなり左右されることが分かり,そのような特異的な環境の指標として,また,そのような環境に生育する貴重種の保護においてアセスの1項目に掲げる必要があると感じた.そのためには,コケのアセスの必要性を提案する知識や能力を今回のような研修を通して身に付けていきたいと思う.


・今後,(コケのアセスは)必ず実施されると思う.先を見た講座として,大変良かった.


・コケ調査が全ての環境で必要とは考え難いが,谷や発達した森林,石垣などでは必要だと思う.


・「知っている人が少ないから」という理由で種が減少していくのは,とても理不尽だと思う.


・今までの植物の調査に付加価値を加えるぐらいの気持ちで,コケとの関係を少しずつ深めていきたい.


・シダや種子植物のフロラが良いところなら,コケも変わったものがあるかどうか,コケに環境指標の意味合いを持たせられるか,少しずつ考えたい.


・「コケは,微環境によって群落を作って住み分けている」ことは,羅生門でよく分かった.また,その場所の環境を特徴付けることができることも知った.


・コケをアセスの対象とするために,やはり調査できる人員を増やすことが求められていると思う.


・現地での種の特定が難しい場合,同定に時間がかかると思う.それを考えると,採集に関して,植物調査時にまとめてできると思うが,主の特定に関しては,植物とまとめてではなく,蘚苔類という1つの項目が必要であると思う.


・環境省や自治体でRDBが作成されていることから,コケのアセスの必要性はあると思う.


・広い調査範囲全てを,歩いて採集することは,かなりの時間や人員がかかると考えられ,また,調査範囲内で調査地点を設定するにしても,地域のコケ相やコケの特性を理解していないと難しいと思った.


・自分がフィールドに出たときにも,コケを観察し,そこから環境を読み取ったり,コケ調査の必要性について考えて生きたいと思う.


・行政機関のコケに対する知識,コンサル側の技術向上,研究機関の協力のバランスがとれれば,今後は,コケのアセスも発生すると思う.そのときまでに,我々コンサルの技術者は,基礎的な技術を身につける必要があると思う.


・植物調査を行う際,貴重種となっているコケを見つけた場合,一応,報告する程度でしか扱っていないのが現状である.


・コケの調査業務が年々増加していることを知り,将来的には,うちの会社でもコケの調査の依頼が生じるかもしれないと感じた.その際,対応できるよう,同定のスキルを向上させようと思う.


・アセスの調査項目としてコケを追加するように働きかけていくことは,重要であると思う.ただ,調査することが目的ではないので,予測,保全方法など考えることは多いと思われる.


・社会的な要求が高まれば,普通に実施されるだろう.


・学識者からの要望が,コケ調査実現の近道.


・コンサルが必要といっても,学識者からの意見がなければ,お金がつかない.


・調査手法としては,事業地の全域ではなく,代表的地点を数ヶ所選定して,スポット的に実施するのが良いだろう.


・研修会を受けた者の一人として,これからは,コケに注意した調査を心がけたいと思う.


・今まで,維管束植物の調査時にはコケの存在は気にしていたが無視してきた(よく分からないことと,調査項目に入っていないから)


・コケの野外調査において,特別な道具が必要なく,装備も軽くて済むことから,現況の業務の中で他の項目の調査と同時にコケ調査を行えると思う.特に岩上に生育するコケ類については,着生シダと同様の観点で調査できるので,今後,留意して観察できると思う.

質問

・コケのアセスの調査方法は,植物相を出そうとした場合,維管束植物と同じように調査範囲をできるだけ歩いたほうがいいのか.実際にやってみて1ヶ所ですごく時間がかかり,広い面積を対象とすると,すごく時間がかかる気がする.北向きの斜面のような,出そうなポイントに絞ってよいのか.


 【お答え】調査対象域の中で,調査目的に応じて,コケの調査ポイントをしぼることになると思います.


・属レベルで立地環境に差があり,住み分けをしているのなら,同定に費やす時間を考えると,属レベルで立地環境の話をするのも可能ではないかと思う.同じ属内であれば,立地環境は似ているのか?属レベルで環境を語ることは可能か?


【お答え】コケの調査をするかしないかという段階では,ミズゴケ属の有無というような属レベルでの話は,ありかと思いますが,貴重な種(現段階では,RDBの種)の有無や微環境の状態を語る場合には,属レベルでは無理です.


・水生昆虫に使われるような環境指標による評価方法ができないだろうか.


【お答え】水中や水辺に生育するコケを環境指標にすることは可能だと思います.まだきちんとしたデータがないのが実情で,今後の調査研究が期待されます.


・調査結果の充実度,妥当性はどのように評価するのか?

【お答え】コケ植物相の場合ですと,調査域の場所(位置),広さや地形の多様性によって,妥当な調査ポイントの数や標本点数がわかります.現状としては,誰が(どの程度の調査経験がある人が),何日調査したか,で充実度と妥当性が評価されると思います.


・調査に要する努力量(人数×時間)は,どの程度見込めばよいのか?

【お答え】コケ相を調べる場合の採集には,行程の3倍ほどの時間がかかるものとして予定をたてます.また,コケの豊富なポイントを目指していく場合には1ヶ所で2時間ほどは予定しておきます.人数は,多いほうがいいですね.蘚類の大型の種類を採集する人,微小な種を採集する人,タイ類を採集する人など,3-5名いるとほぼおさえることができます.

今後の研修会への要望

・調査結果の報告書作成について,どのような内容で書いていけばよいのかをケーススタディで教えて欲しい.項目だてをどうするのかなど.


・全体的に講義の時間が短く残念だった.


・今後,事例,研究的内容の話を聞きたい.


・コケのアセスについての意見交換をする時間が懇親会以外にも欲しかった.


・コンサルには,このような専門家に直接指導を受けることのできる研修の機会がない.今後も,機会があれば研修を開催して欲しい.