平成19年4月7日、14日の土曜日に、春の植物画教室を行いました。今回は理大構内のサクラを主役に植物画教室を行いました。参加者は32名で新聞紙上でも募集したためか、初めてご参加いただいた方も多くおられました。会場は岡山理科大学21号館4階の生物学実験室でした。

1日目は会場の生物学実験室から構内に飛び出して、スケッチのモチーフとなるサクラを採集に出かけました。その前に、西本先生からプリントを使ったサクラの説明がありました。プリントにはあらかじめ西本先生が描かれたカスミザクラがあり、花柄の毛の様子について詳しい説明がありました。21号館を出ると目の前にすぐサクラがあります。参加者は思い思いのサクラをじっくりと選んで教室に戻りました。中には、早速スケッチをされる方もおられました。岡山理大のサクラはちょうど見頃を迎え、モチーフとしては最適でした。毎年、入学したての学生がこのサクラを見て驚きます。雨が降れば、道路はサクラの花びらで真っ白になります。

 サクラを採集して生物学実験室にもどると、西本先生からスケッチの書き方の説明がありました。一番大切なことはバランスをとることです。描くサクラの向きが途中で変わらないように、発泡スチロールのようなオアシスで固定し、コンパスのようなディバイダーを使って割合を見ます。大まかな輪郭が描けたら、さらによく観察して葉縁や花びらの形を正確に書き込みます。ここで西本先生から一言「花びらは5枚あります。もし描いているものになければ、他についている花で確認して下さい!」。参加者の中には、「えっ」と驚いて自分のスケッチの花びらの数を数えておられる方が続出していました。植物画のはじまりは、図鑑からです。図鑑に掲載する植物は花びらの数から毛の有無と長さなど、細かい部分も実物を忠実に再現する必要がありました。ここから、芸術としての植物画が生まれました。

 

 何度も参加されている常連さんは教室に戻ってすぐに、スケッチを始めておられました。ただ、この観察会は初心者対象ですから、その他の皆さんは教卓前に集まって西本先生から書き方の講習を受けました。教卓の上には、西本先生による彩色済みのサクラがあります。皆さんは驚嘆の声を上げながら、西本先生の指導を受けていました。

画 西本眞理子 画 西本眞理子

 どうもスケッチがうまくいかないという方は、まず練習として西本先生の下絵をなぞるところから始めました。植物画教室では植物画専用の用紙と、西本先生の描かれたサクラのコピーが配布されていましたので、それらを利用しました。なぞるだけと言っても、なかなか難しく、西本先生が細かい部分まで観察しておられることが身にしみてわかります。

 第二回目は彩色です。パレットには思いのほか少ない絵の具だけを使用します。ただ、その絵の具の種類と量がくせ者です。まず、絵の具の名前が大変複雑なのです。絵の具は24色ありますが、緑色や花の色だけでなく、深みを出すために黒も使います。黒は混ぜすぎると、色が濁って絵が真っ黒になりますので、その塩梅は経験値がものを言うようです。参加者の方は、やはり黒を使うことに抵抗があるようで、塗り重ね方と色の作成についての質問が多数ありました。

 

 観察会終了時には、皆さんの作品を提出していただきました。提出していただいた作品は、西本先生が型紙を使った額を貼り付けてお返ししており、大変好評です。

 完成した作品一覧はこちらです。

 会場では、西本先生がこれまで出版された「初心者のための植物画」「やさしく学ぶ植物画」の2冊と、それぞれの下絵が専用の用紙に印刷されている「ぬり絵」が販売されました。書籍を買われた方の中には、西本先生にサインをお願いされていました。フランス語が達者な西本先生のサインはなめらかな曲線から成り、とても美しいですよ。