自然植物園では、平成22年9月18日、25日の土曜日に秋の植物画教室を行いました。参加者はそれぞれ29名と26名でした。今回は会場手配がうまくできず、岡山理科大学までお車でのお越しをお断りし、公共交通機関の利用をお願いしました。ところが、参加者の皆さんは快く対応していただき、大変助かりました。このような不都合があったにもかかわらず、募集人数が埋まるほど集まって下さり重ねて感謝申し上げます。このことで良い方向になったことといえば、観察会参加者募集を新聞で知った方々の申し込み受付の枠が増えたことでしょうか。毎回、受け付け開始日の朝から申し込みの電話やFAXが届き始めます。いつもは案内をお送りした方々で半数以上が埋まってしまいます。ところが、今回はお車でのお越しをご遠慮いただいたため、申し込み数がいつもより少なめでした。新聞での募集には講師の西本眞理子先生の植物画も一緒に掲載されます。今回も西本先生の植物画の影響力を改めて感じました。
 観察会初日、さわやかな秋晴れというより夏のような暑さの中、観察会がはじまりました。今年の異常気象で夏日が9月に入っても続いていました。毎回、自然に生育している植物をモチーフとして選びますが、今回は特別です。観察会の前に西本先生と下見をしたのですが、モチーフの第1候補であったヒガンバナは咲く気配すらなく、アベマキやコナラも葉だけでドングリはまだまだのようでした。そこで、このような気候のなかでも見事に花をつけていたミヤギノハギやツクシノハギなどのハギ、センニンソウ、メタセコイヤなどをモチーフにしていただくことにしました。西本先生からモチーフ採取時での諸注意を受けた後、西本先生を先頭に岡山理科大学学内から鉄塔のある山へ少し足を踏み入れました。山へ入る手前にセンニンソウとハギ類がありました。山には入ると乾燥がすすんでいましたが、メタセコイヤの実が青々としてついていました。参加者の方々も剪定バサミを持って思い思いにモチーフを探し、高枝切りバサミを持った職員と協力してよりよいものを選びました。
 
室内に戻り、型決めをします。固いスポンジ(商品名:オアシス)を使ってその植物の特徴が出るように、また格好良い方向を決めます。西本先生の配布されたプリントを参考に皆さん真剣そのものです。続いて、初心者の方を対象に教卓でスケッチの方法を西本先生が説明・実演されました。その後、参加者の皆さんは一心不乱に集中してスケッチを仕上げてきました。西本先生は1人1人に丁寧なアドバイスを下さいます。当日完成できなかった方は来週までの宿題としました。
 観察会2日目、1週間かけてスケッチを完成させていらっしゃった参加者の皆さんは他の参加者の方々とご自分のスケッチを見比べておられました。開始時間直前、西本先生がいらっしゃって観察会2日目が始まりました。水彩画はいかに絵の具を塗らないかが大事とのことで、まずは紙を汚さないことと一度塗ったところは完全に乾燥するまで我慢することが重要です。次にどの色を混ぜるかが頭を悩ませるところですが、ここは西本先生がプリントとホワイトボードに丁寧に書いて下さいます。絵の具は5cm程度の小さいもので、さらに絵の具の色の名前はとても小さい字で書いてあります。似たような色でも水でのばしてみれば全く違う色とわかります。西本先生はパレットのどこに何色を置くかを決めておられるそうです。また、実際ご使用になっている絵の具は色の置き場所もはじめから決まった固形タイプのものでした。植物園では間違いを避けるために、絵の具の下部に大きく数字を書かせていただいております。こうすれば難しい絵の具の名前と数字で間違いを防ぐことができるのではと期待しています。さて、説明を受け、実際にご自分の絵に色をつけるとなるとまた別問題。参加者のうち、特に初参加の方はとまどいながらも筆を進めていきます。西本先生も当日色つけもしてくださいますので、彩色の手順やその様子を間近に見ることができます。
 
少し時間が経って、西本先生が1人1人と対応され、よりよく見える彩色のポイントを教えていただきます。気さくな西本先生なので、参加者の皆さんも質問しやすいようでした。できあがった作品は型紙による額縁をつけてお返ししております。今回もご希望の方に作品をご提出いただきました。


今回モチーフとなった植物
センニンソウ、メタセコイヤ、サザンカ、ミヤギノハギなど。

完成した作品一覧はこちらへ。

<西本先生情報>
●西本先生のブログ「花の絵日記」:新聞掲載の線画の他、指導教室の情報があります。
http://blog.hananoe.net/