自然植物園では、平成24年11月18日(日)に「コケ植物観察講座〜顕微鏡下にひろがるコケの世界を見てみよう〜」を開催しました。参加者は12名、一般の方だけでなく学生さんの参加もありました。学生さんは、西村園長の講義を通してコケに興味を持ち、参加してくれました。一般の方は岡山県内だけでなく、大阪府や滋賀県という遠方からの参加もあり、コケに興味を持たれた方々の熱意を感じました。

 今回の観察講座の主題は、コケの採集と同定はもちろんですが、「顕微鏡の使い方を学ぶこと」でした。コケを同定(種名を特定すること)するためには、肉眼で見たり、ルーペで観察するだけでは難しい場合がほとんどです。難しいのですが、顕微鏡をのぞいた世界に広がるコケの美しさを知るとさらに興味が増します。顕微鏡は、実体顕微鏡と生物顕微鏡を使用しました。実体顕微鏡は6.7〜40倍まで、生物顕微鏡は40倍〜1000倍まで拡大して観察することが出来ます。

 講師は、コケ好きな小学校教諭 立石幸敏先生と西村園長、頼もしい助手としてコケ歴4年の田村さんの3名です。立石先生はコケを知り調査をはじめて30年、小学校の先生ですので、教え方もプロです。田村さんは、コケとコケ好きの皆さんの人柄に惹かれ、今では西村先生の頼もしい右腕です。
 

 観察会は、午前にコケの採集と顕微鏡の使い方、午後に顕微鏡の使い方の続きとコケ観察を行いました。参加者のほとんどの方が顕微鏡に触るのがまだ怖い状態でした。そのため、先生方が1班4名に1名つき、きめ細やかな指導をしてくださいました。初めて使うものの場合、知っている方が側にいると、聞きたいときに質問することが出来るので安心です。終了後にいただいたアンケートでも「スタッフの方がたくさんいらっしゃったので、気軽に声かけさせていただくことができました」と満足してくださったようです。

 観察するためのコケは、岡山理科大学構内で採集しました。会場の21号館から歩いて1分の坂道の脇にある「タチゴケ」です。ちょうど採集しやすい高さにあるタチゴケを使って採集の仕方、ルーペを使った観察の仕方を学びました。ご持参の携帯型顕微鏡を使って観察されている方もおられました。
 
 

 採集して戻り、実体顕微鏡下で観察用のプレパラートをつくりました。特別に細いピンセットを使って、葉を1枚1枚つみとります。つみとった葉をスライドガラスに置き、カバーガラスをかぶせてできあがりです。
 


 昼休憩を1時間挟み、午後から観察が再開されました。午後からは、いろんなコケを見ようということで西村園長が用意して下さったコケたちを観察しました。ダンゴゴケをはじめ、最近岡山で見つかった外来種などが教卓にひろげられました。参加者の皆さんは、興味あるコケを持ち帰り、顕微鏡で観察されました。進んだ方は、先生に図鑑を用いたコケの同定の仕方を質問し、検索表の使い方を学びました。「特に図鑑の見方を教えていただいた時は、”目から鱗が落ちる”感じでした」参加者の方より。
 

 顕微鏡の使い方をすでに学んでいる学生さんは、分類できるコケの種類を増やすべくプレパラートを作成し、観察しました。最後に、西村先生からサプライズプレゼントがあり、皆さん大満足で帰られました。次回は、初心者の方だけでなく、中級者向けの観察会の開催を予定しています。お楽しみに!

<西村園長情報>
●西村園長のホームページ「岡山理科大学のコケ研究室」:研究室の案内、コケに関する情報があります。
http://www.ous.ac.jp/garden/kokenoheya/kokenoheya.htm