自然植物園では,平成26年4月19日,26日(土)に「春の植物画教室」を行いました.植物画教室は,毎回,2回連続で参加されることを前提に募集しますが,本当に毎回たくさんの方からの応募をいただきます。今回の参加者は初日31名,2日目29名でした。このうち11名は,初めてのご参加の方でした.ほぼ3分の1の方々が初めてのご参加と言うことで,西本先生にはより初心者向けのご指導をお願いしました.

 今回,観察会開催の日程を考えるにあたり,西本先生のご予定とこれまでの開催日程を確認してみました.すると、意外と4月開催が少ないように思われました.つまり、サクラの開花時期をちょうど逃しているような日程でした.そこで,今回は改めて日本の春を楽しめるような会にしたいと思いました.岡山理科大学構内は,自然の樹木が生育していますが,それ以外にも植樹された園芸品種があります.幸いなことに,会場のある21号館前から附属高校方向の上り坂にさまざまなサクラの品種が植栽されていました.これまでは,なるべく自然に生えている野生植物をモチーフのメインにするように心がけていましたが,今回はいろんなサクラを楽しむことにしました.買い物袋に水道水を少し入れ、乾燥しないように持ち帰られるようにして,出発です.ほぼ建物の目の前ですので,サクラまでは簡単にいくことが出来ます.ですが皆さん,ご自分のお好みの枝振りを探すのに一苦労.坂道で上を向いて探すので,ふらつきながら,スタッフも枝を切るのに皆さんに体を支えていただきました.皆さんが手にしたのは,薄ピンク色だけでなく、黄緑色の花弁を持つサクラもありました.たくさん採取しても結局は,手のひらサイズを描くので精一杯です.そのため,1人あたりの採取は,なるべく少なくしました.

  会場の21号館生物学実験室へ戻りました.次に,水を含ませたオアシスに咲いていたときと同じ方向に花が向くようにセットします.ここで西本先生が,ある参加者の方のアイディアがすばらしいとのことで紹介されました.それは,オアシスを水入れの上に載せることです.オアシスは,水の中に入れておくべきだという常識にとらわれていた私たちは,さっそくそのアイディアを使わせていただくことにしました.一番感動されていたのは,西本先生です.おそらく他の教室でも大活躍すると思います.次に気になるのは,花の劣化です.時間がたつほど,花弁の向きが微妙に曲がったり,変色してしまいます.そのため,西本先生がおすすめされたのが,デジカメ撮影です.生えているときの印象を残しておくことで,その後の作業がはかどります.
 

 今回,初心者の方が多く参加して下さったので,西本先生にスケッチの描き方のはじめのはじめからご指導をお願いしたのですが,リピーターの皆さんも復習とのことで熱心にご覧になりました.同じ花弁でも,手前の花弁と横向きの花弁の表現の仕方に工夫が必要です.八重桜ともなると,同じパターンの繰り返しが必要となります.さらさらと何事もなく描かれる西本先生に圧倒されそうになりました.
 


 2日目(4月26日)は,彩色です.前回のスケッチをご自宅で完成させて,持ってきていただきました.彩色まで1週間あるから時間は充分あると思われますが,意外とあっという間です.中には,観察会が終わってすぐご自宅で最後までスケッチを完成され,新たなモチーフを描いてこられる方が5−6名おられました.1つのスケッチを完成するのでも大変だと思うのですが,毎回皆さんの熱心さに圧倒されます.さて,まずは彩色をする前に花弁の色を絵の具で再現する方法を探ります.絵の具はご用意していますが,何色と何色を組み合わせると欲しい色になるかが最初の壁です.西本先生は,ホワイトボードに色の足し算を書いて下さいますので,それを参考に色作りをします.とは言っても,絵の具の量が難しいようです.薄い色を何度も塗り重ねることで表現をする水彩絵の具は,塗り重ねた後の色を想像する必要があります.いらない紙に色づけのテストをします.同じ紙ですと,乾燥した後の色が分かるのでとても参考になります.
 

 
 彩色が始まると,1日目のスケッチ同様,西本先生が各テーブルを回って個別指導が行われます.何をどうすれば良くなるのかについて,皆さん熱心に質問されます.また,他の参加者の皆さんは指導されている様子を見て,ご自分の作品に生かされています.ちょっと疲れたら,他の参加者の皆さんの作品を見て,その方法を聞いておられます.先生からだけでなく,お互いに学びあうことでリピーターの方が増えているようです.


○今回モチーフとなった植物○
八重桜

完成した作品一覧は
こちらへ.

<西本先生情報>
●西本先生のブログ「花の絵日記」:新聞掲載の線画の他,指導教室の情報があります.
http://blog.hananoe.net/