岡山理科大学自然植物園


キッコウハグマ
Ainsliaea apiculata Sch. Bip.

 キク科 Compositae

キッコウハグマは山地の林床に生育している多年草である.秋になると長い茎の上部に白い花を5〜7個つける.これらは一度に咲くのではなく,先端部にある花から徐々に開いていく.この白い花弁に包まれた花は1つではなく3つの小花が集まっている.花弁の先端はフックのように外側に向かってかえしがある.閉鎖花もあり,花弁が開かないものもある.晩秋にかけて果実を付ける.この果実は「痩果(そうか)」と呼ばれ,長さ約5mmで先端に約1cmの冠毛をつける.葉は茎の周りに広がってつき,ハート型をしている.和名「キッコウハグマ」は「亀甲白熊」である.「キッコウ(亀甲)」は葉の形から.「ハグマ(白熊)」は花弁の形がヤクの尾の毛に似ることによる.これはヤクの尾でつくられた旗竿につける飾りを「白熊」と呼ぶことから由来している.ヤクはヤギの仲間である.日本に白熊?と考えてしまいがちな点である.変種として屋久島には葉の切れ込みの強い「リュウキュウハグマ var. acerifolia」が報告されている.

日本には北海道〜四国,九州まで幅広く分布している.

Coll. A. Ohtani  November 20, 1997