岡山理科大学自然植物園


キランソウ Ajuga decumbens Thunb.

  シソ科 Labiatae

キランソウは山地の路傍や草地に生育する多年草である.高さ5〜10cmと小さく,葉をタンポポのようなロゼット状につける.何株も生えているのを見るとかわいらしい.葉は楕円形でゆるい切れ込みが10ほどあり,やや厚みがある.また植物体には特に葉の縁や基部には長い毛がある.春から初夏にかけて紫色の花をつける.この花は葉の基部から出ているものである.一番長い花弁が下につき,上の花弁はおしべの花粉がつく.そこへ蜜を吸いにきた昆虫が入り込み,昆虫の羽に花粉をつけ運んでもらう虫媒花である.これにより他花受精ができる.和名「キランソウ」は「紫藍草」や「金瘡小草」,「金襴草」などと書き,花弁の色が由来といわれている.別名「ジゴクノカマノフタ」という恐ろしい名前がついている.これは葉のつき方から由来するもので,地獄から守ってくれる花という意味合いが強いようである.

日本には北海道をのぞく,本州から九州まで分布する.

Coll. A. Ohtani  May 10, 1999