岡山理科大学自然植物園


クマワラビ
Dryopteris lacera (Thunb.) O. Kuntze

 オシダ科 Aspidiaceae

クマワラビは山地の林床や山道脇に生育している常緑性のシダである.葉柄の基部には黒ずんだ鱗片と呼ばれる膜状の覆いがある.和名「クマワラビ」は「熊蕨」で,この黒ずんでいる部分がクマの毛と似ていることから付けられたようだ.地中の根茎は太いが塊状となり,群生して生える.胞子嚢をつける葉は先端の1/4程度のみでその他の葉にはない.胞子嚢が完熟した後,その部分は枯れてしまう.そのため,葉の先端1/4だけがしおれたようになる.近縁種には「オクマワラビ:Dryopteris uniformis」や「ギフベニシダ:Dryopteris kinkiensis」がある.これらとは先ほど示した胞子嚢が先端のみにつく点で区別できる.

日本には北海道〜本州,四国,九州まで幅広く分布している.

Coll. Y. Hada  July 19, 1993