岡山理科大学自然植物園


ミズヒキ
Polygonum filiforme Thunb.

 タデ科 Polygonaceae

ミズヒキは低山地や人里近くに生育する多年草である.秋になると小さな外側が赤色で内部が白い花を咲かせる.この紅白の様子がおめでたいことから,正月用の生け花で多用される.実際に生育しているところを見ると,小さな花ではあるが緑色の中にあるとよく目立っておりかわいらしい.これに対し葉は植物体に対し大きく,倒卵形,長さ5〜10cm,先端は急に尖る.また,両面に毛があり,タデ科を思わせるV字形の黒い斑点が薄くついている.花は茎から直接出ているように見えるが,茎は茎でも葉腋から出ているのがほとんどである.花の色が全体的に白い個体を「ギンミズヒキ(f. albiflorum)として区別している.このように花の色によりいくつかの品種が報告され,栽培されている.晩秋にかけて実を付ける.このとき長く伸びた柱頭がかぎ状(U字形)に曲がっており,これを動物が知らないうちに引っ掛けて種子散布が行われる.

日本には北海道,本州,四国,九州,琉球まで幅広く分布している.

Coll. A. Ohtani  September 19, 1997 Coll. A. Ohtani  October 28, 1998