岡山理科大学自然植物園


ニワトコ
 Sambucus racemosa L. subsp. sieboldiana (Miq.) Hara

  スイカズラ科 Caprifoliaceae

ニワトコは葉などの薄い切片をつくるときに使われる植物である.茎の中心にある「髄」が「ピス」と呼ばれて使われているが,実際に植物体全体を知っている人は少ない.低地の山地のなかでも日があたりやすい林縁などで見られる落葉性の低木である.植物体の高さ1-5m,幹は比較的細く,樹皮は黒くて厚くごつごつした質感がある.葉は楕円形,長さ5-15cm,大きいものでは20cm近くになることがある.葉縁は小さい鋸歯がある.また,葉は小葉が2-4対生し,羽状複葉をしている.春から初夏にかけて白い花が集まったような円錐花序を形成する.花序は新枝に葉に囲まれるようにしてつき,その高さは5-10cm.初夏〜夏になると赤くて球形の実を数多くつける.実の直径は3-5mm,その中に3個の種子がある.実が黄色になる品種も報告されている.

日本には北海道を除く,本州,四国,九州に分布している.

Coll. A. Ohtani  March 29, 1999 Coll. A. Ohtani  June 14, 1999