●平成13年植物歳時記:7月



シャシャンボ(ツツジ科)
Vaccinium bracteatum Thunb.

・関東南部の暖地に普通にみられるツツジ科スノキ属(Vaccinium)の常緑小高木。

・スノキ属はツツジ科のなかでは比較的大きなグループで、さらに6つのグループに細分される。

・本種は、合わさった花びら(花冠)の切れ込みが浅いこと、常緑であること、子房が10室に別れることから他のグループと区別される。

・スノキ属にはコケモモ、クロマメノキなど美味しい実をつけるものが多いが、シャシャンボの実は毒はないが、酸味、渋味が強く、径5〜6mm程度と小さいことから利用されない。





ナンテン(メギ科)
Nandina domestica Thunb.

・庭などによく植栽される高さ1-2mのメギ科の常緑低木で、東海地方以西ではよく野生化している。

・石灰岩地を好む傾向があることから、このような土地にもともと自生していたと考える研究者もいる。

・葉は3回3出羽状複葉といって、枝が3回分岐して枝の最先端部に3枚の小葉が付く構造となっているが、実はこの3回3出羽状複葉構造の一つが1枚の大きな葉なのである。

・実は通常は赤く熟すが,稀に白色のものもある。どちらもアルカロイドを含み,漢方では咳止めとする。南天のど飴もその薬効に注目したものであろう。





ヒメジョオン(キク科)
Stenactis annuus (L.) Cass.

・ヒメジョオンに良く似た植物にハルジオンがある。どちらも、道端にごく普通にみられるキク科の帰化植物である。

・一見すると両者ともよく似ているが、ハルジオンは多年草であり、茎の中央部が空洞(中空という)になっているのに対し、ヒメジョオンは1〜2年草で、茎が中空にならないことで容易に区別できる。

・どちらも北米原産であり、ハルジオンは大正中期、ヒメジョオンは江戸時代終末期に渡来した。





ヤブガラシ(ブドウ科)
Cayratia japonica (Thunb.) Gagn

・北海道西南部以西の日本各地の藪や畑に普通にみられるブドウ科の蔓性多年草。

・地下茎があちこちに伸び、そこから新しい芽を出すので繁殖力が強い植物である。

・小さな葉(小葉)が鳥の足跡状に配列して1枚の大きな葉をつくり(大葉)、これが互い違いに付く(互生)が、花序をつける節には、通常、対生する。

・花弁は緑色で4枚あるが、花が終わると花弁が脱落し、その跡(花床)の黄赤色が目立つようになる。

・ビンボウカズラと呼ぶこともある。