●平成13年植物歳時記



4月10日〜4月16日展示

コバノミツバツツジ(ツツジ科)
 Rhododendron reticulatum D. Don

・関西の丘陵や低山地にみられるツツジであるが、酸性が強く養分の比較的少ない土壤にも耐えて良く育つため、瀬戸内ではごく普通に認められる植物である。

・ツツジ属は比較的種類が多く、花の美しいものが多いが、春先、木々が葉をあまり展開しない時期にいち早く紫紅色の花をたくさんつけるコバノミツバツツジは格別目を楽しませてくれる。

・自然植物園では、本種の他にモチツツジ、ヤマツツジ、ミヤコツツジといったツツジ類が生育している。



 
4月17日〜23日展示

クサイチゴ(バラ科)
Rubus hirsutus Thunb.

・本州、四国、九州の草地や林にみられる。一見草本と考えがちだが、実は小低木の植物である。
 初夏に赤い実をつけ、この実は食べることができる。

・キイチゴ属は比較的種類が多く、白色から帯紅色の美しい花弁をつける。

・自然植物園では、他にナガバモミジイチゴ、ナワシロイチゴといったキイチゴ類がみられる。




セイヨウカラシナ(アブラナ科)
Brassica juncea (L.) Czern

・カラシの原料として栽培される植物である。種子を粉末にしたするとカラシになる。この種子は黄色をしている。

・もともと日本では生育していない植物であるが、現在では帰化していたるところで見られる。

・アブラナに較べ、やや小ぶりである。花の色もアブラナよりやや淡い黄色。群生していればどちらも目立つが、遠目にもカラシナの花畑の方が柔らかく見える。

・自然植物園では、同じ科のナズナが見られる。





4月23日〜展示

コバノガマズミ(スイカズラ科)
Viburnum erosum Thunb. ex Murray var. punctatum Franch. et Savat.

・ガマズミ属は、常緑のものと落葉のものがある。

・前者の代表は公園や庭に良く植栽されるサンゴジュであり、後者の代表はいわゆるガマズミであろう。

・この仲間は、自然植物園内ではガマズミ、ミヤマガマズミ、コバノガマズミが自生している。コバノガマズミは、葉のねもとの軸(葉柄)が2〜6mmと短く、10mm以上ある他の2種と区別できるが、これらが混生しているところでは、しばしば中間的な性質を示すものがあったりするので、注意が必要である。

・これらの果実は赤く熟し、よく熟したものは甘く食べられる。熟した実を瓶などの集めておくと、自然発酵し、酒となる。木の穴などに動物が貯蔵した実が自然発酵することもあり、これを昔の猟師は猿酒といった。





カラスノエンドウ(マメ科)
Vicia angustifolia L.

・本州,四国,九州の暖地では,道端にごく普通にみられる越年草。茎は長さ50〜150cmで,断面は四角形をしている。花は4から6月ごろ葉の腋に1から3個づつ付き,長さ12〜18mmで紅紫色。

・このグループには仲間が多く,食用にするソラマメ(Vicia faba L.)もその一つである。

・名前の由来には、「カラスの食べるエンドウだから」、「豆果がカラスのように黒く熟するから」という説がある。

・中国では干したものを薬として使用している。




 
ヒイラギナンテン(メギ科)