岡山理科大学自然植物園では、コケの調査方法に関する研修会を開催いたします
2005年6月25(土)〜26日(日)
近年、環境アセスメントなどの生物調査の発展に伴って、時折、コケに関する調査が必要である場合が出始めました。湿原や石灰岩・蛇紋岩などの岩場、渓谷などでは特有なこけ植物が生育し、それらの中には貴重な種も当然存在するからでもあります。
従来の環境アセスメントの中では、コケ植物に関する調査は、ほとんど行われてきませんでした。その理由の1つは、調査の前提となる知識の集積が不足である点と、調査を行うことができる調査技術者が決定的に不足していたからです。
愛知万博の環境アセスメントにおいて、コケ植物を調査項目に加えることを提案したことがあります。愛知県を中心とする地域には特異な動植物が生育・生息していることが知られていますが、コケに関しても同様で、本来ならばブナ帯に生育するイボミズゴケが名古屋市内に生育するなどの事実が知られており、調査すべきであると考えたからでした。しかしながら、調査は行われませんでした。調査する人材がいないから、という理由でしたが・・・・・
全ての環境アセスメントでコケの調査が必要であるとは考えていませんが、コケの調査を実施したほうがよいと思われる環境で、環境調査が行われる時代になっています。例えば、石灰岩地帯や蛇紋岩地帯を通過する道路の拡幅、美しい渓谷における砂防ダムの建設などに伴う環境調査。貴重なコケ植物の生育地を破壊した後に、専門家から怒られる事態が発生しています。知らなかったこととはいえ、それで通るでしょうか?
コケの調査やコケの同定依頼などに関する問い合わせが増えています。同定依頼は、採集したコケを同定してもらえないか? というものです。しかし! その生物を知らない人が採集すると、ありきたりのものしか採集できないことは、皆さんもよくご存知のはずです。コケに関して、まったくの素人の生物調査技術者が採集したコケを同定し、その地域には貴重なコケが生育していないとは評価できないわけです。
今回の研修会では、まずコケというものを認識していただき、コケと友達になっていただき、さらにコケの調査法、標本作成法などについて実習します。今後、このような研修会を積み重ね、詳細な同定までとはいかないものの、標本を採取し、同定を以来できる程度の能力を持つ生物調査技術者の養成を行いたいと考えています。当面、『こいつの採集なら、確かだろう!』といったレベルの技術者養成が目標です。
予定数の20名の申し込みをいただき、募集を停止します。多数のご参加、ありがとうございました(6月6日)
なお、関東地区においても多数の潜在的参加希望者があるとのこと。今後検討していきたい事項の一つです。
現時点においては、次回の開催は未定ですが、今回の成果をふまえ、更に充実したプログラムに成長させたいと思っております。今後のご参加をお待ちしています。
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