岡山にオイデンセー
−開催地からのメッセージ−

岡山理科大学総合情報学部生物地球システム学科
波田善夫
果物の王国おかやま
 岡山は自称、果物大国である。特産の果物としては、白桃・マスカット・ピオーネなどがある。これらの果物を眺めてみると、全て落葉であることに気づかれるであろう。西日本に位置して温暖な地であるはずであるが、ミカンなどの常緑果樹はほとんど生産されていない。冬季の低温が厳しく、数年に一度の冷え込みで常緑果樹は大きな被害を受けてしまう。海に面しているとはいえ、内海沿岸の冷え込みは結構厳しい。

晴れの国おかやま
 晴天率が最も高いわけではないが、岡山は晴れの日が多く、降水量が少ない。降水量の少なさは地形や土壌の力を表に現しやすい。岡山の県木がアカマツであるように、花崗岩地域の森林はアカマツ林によって覆われていた。
 夏に2ヶ月以上もほとんど雨が降らないことが10年に一度くらいある。庭木や街路樹はもちろんのこと、なんと山の木々が枯れ始める。秋雨が降ると山は一挙に緑が回復して新緑となる。アラカシなどの常緑広葉樹のダメージは大きいが、落葉広葉樹の被害はほとんどない。岡山では、10年に一度、雨緑林を見ることができる。

みどり豊かな岡山
 永野前知事の枕詞が「みどり豊かなこの岡山の・・・」であったのだが、植生図を解析してみると、岡山県は自然度の高い植生の占める割合が日本で最も低い県であった。環境庁(当時)の発表に知事が激怒したのであるが、確かに緑は多いがすばらしい自然は残っていない。その原因は少雨のために植生回復が遅いこと、本来ならば残るはずの県北脊梁地域においても「たたら製鉄」が行われたために、徹底的といってもよいほど植生が破壊された歴史を持っている。
 しかし、最後に引導を渡したのは敗戦である。戦後、脊梁地域の深山に残されていたミズナラは伐採され、インチ規格に製材されて輸出されていった。外貨獲得のためであったが、夢破れて山河荒れ・・・・。アメリカの鉄道の枕木は日本産であったとか。

毛無山のブナ林
 徹底的といってもよいほどの森林破壊の中、残った森もある。岡山県の北西部、新庄村の一角には林業会社の所有する「スギの巨木を交えたブナ林」があった。自然保護地域に指定されていたが、岡山に赴任した当時から、毎年のように伐採したい旨の申し出があった。確かにスギを伐採するだけでも相当な収益であろう。交渉の結果、20ヘクタールほどではありますが買収してしまいました。県のねばり勝ちです。岡山県には自然度10の森林植生はほぼここにしか残っていないことを明確に示すことができた植生図も貢献したはずです。
 岡山市からは少し遠めの移動となりますが、このブナ林をエクスカーションの場所に選定いたしました。

オイデンセー
 岡山は交通の要所であり、地方都市としては比較的交通の便のよい所であると思います。とはいえ岡山理科大学は山の上。不便な点も多いかと思いますし、スタッフの少なさからご迷惑をおかけすることもあるかと思います。何はともあれ、晴れの国「岡山にオイデンセー!」

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