葉舌と葉耳



 イネ科植物の葉は、茎を取り囲んだ筒状の鞘となっており、「葉鞘(ようしょう)」と名付けられている。この葉鞘がやがて葉に移行するわけであるが、この葉と葉鞘の移行部を観察してみると、結構複雑でおもしろい。葉は風に吹かれて揺れ動き、結構強い力がかかるに違いない。茎は節から送り出されるように伸長するので、茎に固定するわけにはいかない。この力のかかる部分は肥厚して葉をしっかりと支えている。この肥厚部分が幅広くなると、「葉耳(ようじ)」と呼ばれる構造になる。画像の白い部分がそれである。葉鞘の先端部分には、薄い膜状の構造ができることがあり、これを「葉舌(ようぜつ)」と呼んでいる。
 これらの構造物は種を同定するキーとして役立っている。
ネズミムギの葉耳と葉舌ネズミムギの葉耳と葉舌


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