野外調査法実習T
波田班 2012年7月13日実施
レポート課題につて

1.森林の現存量の算定
 レポートでは、今回計測した、10m×10mの方形区の中に生育している植物の総重量を推定してみよう。手順としては、以下の様な流れになります。

(1).体積の算出
 樹木の質量を正確に求めるためには、茎・葉・根の重量を計測する必要があり、非常に困難である。そこで、誤差を含むことを覚悟して、簡略化した方法で計算することを試みてみよう。
 今回は、樹木の形状を単純化して円柱とみなし、体積を求めます。
円柱の体積は、円の半径と円柱の高さが分かれば計算できる。
(円柱の体積=底面積×高さ=半径×半径×円周率×高さ)
 今回は、円の半径=樹木の胸高直径の半分。高さ=樹高。以上のデータを使用しよう。なお、計算する際には、単位に注意。全てセンチメートルに換算してから計算した方がよいでしょう。

(2).重量の算出
 体積が明らかになれば、比重をかけることにより、重量を求めることが出来る。
樹木の比重は、種類によって違いがある。以下の気乾比重を用いて、計算してみよう。

コナラの気乾比重:0.76
アオハダの気乾比重:0.66
タカノツメの気乾比重:0.54
ウリカエデの気乾比重:0.63
カキの気乾比重:0.61
アカマツの気乾比重:0.52
ネジキの気乾比重:0.67
リョウブの気乾比重:0.74

(原色木材大図鑑、1962、保育社から引用)

ソヨゴの比重については、資料が見つかりませんでした。そこで、参考値として、気乾比重:0.60を与えておきましょう。

(3).森林の現存量
 上記の体積と比重から、それぞれの樹木の重量を計算してみよう。さらに、調査区ごとに各樹木の重量を足し合わせて、総重量を求めてみよう。
 レポートでは、データを適切な形態にまとめて、グラフなどで分かりやすく表示してみよう。
 重量の他にも、樹木の種類ごとの本数・胸高直径をグラフや表にまとめて見ると、各調査区の状態がよくわかるでしょう。また、立ち木の密度(本数/面積)

(4).森林の現存量の比較
 今回の調査では、調査区ごとに地形に違いがありました。調査区1と調査区2は斜面下部、調査区3と調査区4は尾根でした。地形ごとに、森林の現存量にどのくらい違いがあるか比較して、その原因を考察してみましょう。

2.参考、および資料
(1).自然保護センターの森林の歴史
 今回調査した森林は、付近の田畑への落葉落枝(肥料)の供給や、薪炭材の採取に利用されていたアカマツ林だったとされています。1960年代に、肥料や薪炭の需要が少なくなったためか、材木などに利用するためアカマツは伐採されました。そのため、現在、存在している森林は、1960年代の伐採の後に再生したものである事になります。

○岡山県自然保護センターの里山管理に関する提言
http://opnacc.eco.coocan.jp/pdf/chosa-kenkyu/vol01/01_p29-40_satoyama.pdf
○岡山県自然保護センターの森林植生 1.種組成と群落構造
http://opnacc.eco.coocan.jp/pdf/chosa-kenkyu/vol02/02_p13-24_shinrin_sosei_gunraku.pdf

(2).マツ枯れ病
 一方で、調査地では、「マツ枯れ病」の被害により、枯れているアカマツが少なからず見受けられました。アカマツが枯れてしまうと、森林のどのくらいの重量が失われてしまうのかを考察するのも面白いでしょう。

○マツの年輪に刻まれた歴史 
http://had0.big.ous.ac.jp/thema/treering/treering.htm
○松枯れ病 
http://had0.big.ous.ac.jp/thema/matsugare/matsugare.htm


3.課題の提出期限
 2012年9月30日とします。21号館6階の波田研究室前の提出箱(封筒)に提出してください。

4.引用文献
貴島恒夫・岡本省吾・林 昭三.1962.原色木材大図鑑,pp. 130-143.保育社,大阪.

補足。
 なお、現地調査において、一部の樹木について樹高を計測することが出来ませんでした。そのため、樹種ごとに胸高直径から樹高を計算する推定式を作成し、補完してあります。補完したのは、3班のデータです。なお、途中経過は「樹高の推定」のシートにあります。

上記内容のワードファイル
データのエクセルファイル



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