生態学概論 Introduction to Ecology (8)
4.エネルギーや物質の流れからみた生態系
生物にとって価値あるものであり、量的に不足して他の生物との競合がある場合、そのような物質は生態系の中で、通貨として振舞う。生物体を構成する有機物や無機栄養塩類は食う食われるの関係を通じて、生態系の中を循環している。
4-1.食物連鎖と食物網- 栄養段階と生態系ピラミッド-
植物を食べた動物が更に次の動物に食べられ・・・・というつながりの関係があり、これを食物連鎖 Food chain と呼ぶが、実際には特定の生物しか食べたない場合は少なく、食物網という呼び方が普及しつつある。
食物網の出発は、生産者としての緑色植物である。植物食の動物は一次消費者と呼ばれる。一次消費者を食べる動物が二次消費者であり、以後、N次消費者ということになるが、各段階で、大量のエネルギーが消費される結果、高次消費者に受け渡されるエネルギー量は極わずかなものとなる。具体的には、消費者は餌を探すために運動し、摂食し、消化するためにも大量のエネルギーを消費する。排泄物にも未利用のエネルギーが存在するわけであり、各段階で大きなエネルギー損失になるのは当然である。このために、高次消費者になるほど個体数は激減し、いわゆる生態系ピラミッドを形成することになる。