遷移と幹比重

データ および吟味
 表1は遷移の観点からまとめられたデータであり、表2は材木関係の資料から、まとめなおしたものである。両者の数値は大きく異なっており、全体的に表1の数値が小さい。表1に関しては、特に比重の定義が記されていないが、記されていない場合には乾燥機によって乾燥させた後の数値であると思われる。表2の数値は自然乾燥させた状態における数値であり、絶乾比重ではないが、それほど大きな数値的違いはないので、乾燥方法による違いではないと考えられる。おそらく、表2のデータは材木全体としての比重(辺材+心材の平均)であり、表1は材を形成した直後の数値であると思われる。すなわち、樹木は材を形成した後、樹脂やタンニン・リグニンなどを蓄積させる(木化→心材)ので、比重は大きくなり、材木全体としては、より重たい数値になるものと思われる。

表1.遷移と幹比重 【沼田(1977)から引用】
W/V常緑針葉樹落葉広葉樹常緑広葉樹草本植物
0.3〜0.35
ヤマハンノキ(0.3)
アカメガシワ(0.34)


0.35〜0.4アカマツ(0.37)
タニウツギ(0.37)
キツネヤナギ(0.39)

シロザ(0.35)
0.4〜0.45
クリ(0.4)
ヌルデ(0.43)

セイタカアワダチソウ(0.4)
ススキ(0.43)
0.45〜0.5
ヤマツツジ(0.45)ヤブニッケイ(0.48)
0.5〜0.55
ヤマハギ(0.51)
ヤマグワ(0.54)
クヌギ(0.54)
タブ(0.5)
ヒサカキ(0.53)
スダジイ(0.54)

0.55以上
コナラ(0.55)
ガマズミ(0.56)
ミズナラ(0.57)
アカガシ(0.55)
ヤブツバキ(0.55)
シラカシ(0.56)
ウラジロガシ(0.58)
アラカシ(0.60)




表2.樹木の気乾比重(原色木材大図鑑、1962、保育社から引用)

裸子植物落葉広葉樹常緑広葉樹
〜0.35


0.40 セコイア(0.37)
スギ(0.38)


0.45 エゾマツ(0.43)
ヒノキ(0.44)
モミ(0.44)
ポプラ(0.45)
コシアブラ(0.45)

0.50カラマツ(0.50) ホオノキ(0.49)
カツラ(0.50)

0.55 イチイ(0.51)
アカマツ(0.52)
コメツガ(0.52)
クロマツ(0.54)
イヌマキ(0.54)
イチョウ(0.55)
ヤマナラシ(0.51)
トチノキ(0.52)
ヌルデ(0.54)
タカノツメ(0.54)
クスノキ(0.52)
ツブラジイ(0.52)
0.60ネズ(0.56) シダレヤナギ(0.56)
クリ(0.60)

0.65
カキ(0.61)
ヤマザクラ(0.62)
アキニレ(0.62)
エノキ(0.62)
ウリカエデ(0.63)
ミズキ(0.64)
シラカンバ(0.64)
イタヤカエデ(0.65)
ブナ(0.65)
マテバシイ(0.61)
アセビ(0.62)
タブノキ(0.65)
0.70
エゴノキ(0.66)
ネジキ(0.67)
ムクノキ(0.67)
マユミ(0.67)
アズキナシ(0.68)
ミズナラ(0.68)
ダケカンバ(0.68)
ケヤキ(0.69)
イヌシデ(0.69)
クロガネモチ(0.70)
カゴノキ(0.70)
0.75
アカシデ(0.71)
リョウブ(0.74)
クマシデ(0.75)
ヤマモモ(0.73)
0.80
コナラ(0.76)
クマノミズキ(0.76)

0.85
クヌギ(0.85)
カシワ(0.85)
イヌツゲ(0.81)
ヤブツバキ(0.81)
シラカシ(0.83)
0.90
カマツカ(0.86)
ヤマボウシ(0.88)
ビワ(0.86)
アカガシ(0.87)
サザンカ(0.90)
ツクバネガシ(0.90)
0.95

ヒイラギ(0.93)
1.00
アベマキ(0.98) カナメモチ(0.98)
ウバメガシ(0.99)