1.海上の森 −地質−
 海上の森地域の基本的な地質は花崗岩であり、その上に河川堆積物である山砂利層がのっている。山砂利層は「土岐砂礫層」とも呼ばれ、チャートなどの風化しにくい礫や砂からなっている。この山砂利層の厚さは一様ではなく、東に至るほど山頂や尾根部分だけに見られるようになり、西の端では平野部に接する状態になっている。

   海上の森入り口付近の土岐砂礫層の露頭


横一列にアカマツの稚樹が生育しているのがおもしろい


浸食抵抗の高い層がひさしのように張り出して残っている。


堆積層の中には鉄分を多量に含む層があり、俗に「鉄板」と呼ばれている。
第二次世界大戦時には掘り出されて製鉄に利用されたこともあるという。
この露頭でも薄いものを観察することができる。
このような鉄を多量に含む層は、沼沢地のような条件で形成されるので、
堆積時の環境は沼沢地や「わんど」などが複雑に入り組んだ地形であったことが伺われる。


露頭で見られたアカマツの芽生え
芽生えて数年と思われるが、周囲が浸食されて土柱状になっている。
表土が容易に流されることがわかる。


谷底の道。降雨時には水が流れ、河原のような感じとなっている。
礫はいずれもフレッシュで、現在の河原に見られるものと同様な印象がある。
風化した「腐れ石」は、ほとんどない。

 当地の山砂利層は風化しにくいチャートなどの岩石で構成されている。したがって、母岩の風化によって植物が吸収できる栄養塩類が供給されにくいことになる。たとえて言えば、様々な大きさのビー玉により構成されている土壌のようなものである。部分的には粘土などの微粒成分を多く含む層があって不透水層として機能していると思われるが、全体としては透水性も高く、植物の生育にとっては良好な土壌母材とは言い難い。


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