ナメラダイモンジソウ Saxifraga fortunei var. suwoensis (ユキノシタ科 ユキノシタ属) |
ナメラダイモンジソウは本州(中部地方以西)及び九州に分布する、小型の多年生草本。山地の渓流沿いなど、絶えず湿っている岩盤上に生育する。根茎は短く、走出枝はつくらない。根出葉には長い柄があり、円腎形で横に広く、基部は心形、掌状に5〜7中裂する。よく似るダイモンジソウとは、ダイモンジソウの葉が5〜17浅裂することで区別される。また、ダイモンジソウに比べると、本種の方がより水際の岩に着生することが多いように思える。花期は7〜10月で、「大」文字形の花が咲き、これが和名の由来となっている。「なめら」とは「滑らか」の意で、表面のつるやかな渓流の岩場に生育するためであろう。群生地では、渓流の岩場をまるで粉雪でも降ったかの様に彩る本種の姿が非常に美しい。本種の成育するような渓流はダム開発にはもってこいの場所が多く、現在までに多くの自生地が水の底に沈んでしまったのであろう。 |
文章・画像:森定 伸 |