オクノカンスゲ Carex foliosissima Fr. Schm. ( カヤツリグサ科 スゲ属 ) |
オクノカンスゲは冷温帯の林床に生育する常緑の多年草。岡山県では冬季に積雪のある北部の脊梁山地付近に普通に見られる。地下に匍匐枝を伸ばして広がるため、たいていまとまって生える。やや大型のスゲであり、群生するため落葉林下でよく目立つ。葉はスゲの仲間としては幅が広く、硬くてやや光沢がある。雪解け間もない頃に、雪で押しつぶされた株をよく見るが、しなる葉は積雪の圧力と崩壊のダメージを、うまく受け流しているように思う。 冷温帯の落葉林下にはいくつかよく似たスゲの仲間が普通に成育するが、オクノカンスゲは葉の断面がM字型になること、群生すること、根元を少し掘ってみると匍匐枝があることが区別の目安になる。 早春に雪が解けると早々と稈を伸ばし花を咲かせる。早春の落葉林は可憐な花が多いが、結構地味な花たちも負けじと咲いている。 |
文章・画像:太田 謙 |