ミズスギ Lycopodium cernuum (ヒカゲノカズラ科 ヒカゲノカズラ属)
 ミズスギは、世界の熱帯・亜熱帯に広く分布し、日本では北海道東部から南西諸島に分布する。北日本では温泉付近の暖かいところなどで例外的に生育するらしく、本来の生育地はやはり暖かい地方であろう。日の当たる切り通しの法面や斜面、林縁のやや湿ったところ、海岸近くに群生することも多い。岡山県では県南部の花崗岩地域に見られ、湿原やその周辺、山間の小さな水田の畦など、母岩が露出し、表水の滲み出ている場所に生育する。生育環境が特異であることもあり、各地で貴重な植物種として指定されている。茎は地表を長く這い、葉は5ミリ程で、茎に密生する。直立した茎の枝先に長さ1センチ程の下向きに垂れた胞子嚢穂をつける。胞子嚢穂を付けた姿はクリスマスツリーをイメージさせられる。胞子嚢穂が下向きに垂れるのはヒカゲノカズラの仲間では本種だけであり、同定ポイントの一つでもある。
胞子嚢穂が枝先につく水田脇の花崗岩の露岩に群生するミズスギ
ミズスギの匍匐茎ミズスギの生育地

文章・画像:森定 伸

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