植物生態研究室(波田研)の主な研究テーマ
○地質・地形・光条件などの環境条件と森林植生の関係
堆積岩や花崗岩などの岩石の違いは、風化の速度や形成される土壌の性質に反映します。したがって、生育する植物や発達する森林の形態も異なってきます。また、尾根や谷などの地形の影響も見逃せません。このような、環境要因と発達する森林形態との関係を研究しています。このような研究は、現在の森林データから過去からの森林の歴史を明らかにすることができ、また、将来の森林の姿を推定することができます。
現在、森林はマツ枯れ病により大きなダメージを受けています。歴史と未来を見通した、森林の発達理論を解明することは、森を守るためには是非とも必要なことです。
○発芽・生長戦略の解明に立脚した法面の樹林化に関する研究
大規模な開発や道路建設などでは人工的な斜面が形成されます。これを法面(のりめん)と言います。このような人間の営みによって壊された跡地は可能な限り速やかに自然に戻してやることが必要です。現在では外来の牧草種子を吹き付け、草地に回復させることが一般的ですが、これでは自然に戻したとは言えないと思います。現在、自然に戻すために近くに生育している樹木の種子をまき、森林に戻すことができないか、研究しています。
どのようにすれば自然の森を再生できるか、世の中に必要な研究ですが、長い時間のかかる大変な仕事です。
高速道路の建設によって形成された法面(岡山県総社市)ここではドングリなどの種子からの森林回復実験が行われている。
アベマキのドングリ播種実験の状況。無施肥では生長は不良であるが、施肥したものでは1年半で樹高70cmを越えたものもある。
○湿原や湖沼などの成立要因解析に立脚したビオトープの創生
湿原・湖沼・河川などの水と関係する生態系は人間の営みによって大きく変えられてしまいました。埋め立てやコンクリートによる改修、水質汚染などが原因です。これらを小さな面積であっても、本来ある姿に戻そうという試みが行われつつあります。これがビオトープです。このような試みに際しては、植物を中心とする生き物たちの生育理論がわかっている必要があります。一つのまとまった生態系の成立理論が解明する ことが、生態系復元の基礎であると言うことです。
トンボのたくさんいる浅い沼地、サギソウの咲き乱れる湿原、様々な生き物が生息する河川・・・そんなものを守り、再生させることにかかわる研究です。
○地域生態系の解析
一つのまとまった地域、例えば一つの市町村や都道府県などの環境管理はどのようにしたらよいのでしょうか? 適切な都市開発や、自然保護地域などの設定は、どのように考えたらよいのでしょうか? これに答えるための一つの方法が、地域をメッシュに区切り、そのメッシュ内の土地利用や自然環境、生物相などを調査し、これらを重ね合わせて統計的に解析し、その結果から地域の特性を抽出するメッシュ法があります。
解析は、現地調査とともに航空写真や衛星画像の解析、そしてパソコンによる統計的解析へと続きます。パソコン大好き少年が適しているかも知れません。
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