東日本大震災と植物
2011/12/27記
1 はじめに

 10月の植生学会で、東日本大震災の津波被害に伴う植物・植生の被害に関する速報があった。津波だけではなく、これに伴って発生した火災によって森林、特にスギ林が枯損し、あるいは焼失しているとのことであった。どのような被害があったのか、その後の植生回復はどのようであるのか、気に掛かりつつも時間が経過した。秋田で私立大学協会の会議があった。これを早々に切り上げ、仙台に向かった。
 津波に襲われた地域はどのような状態なのか、津波で大きな被害があった地域は公園や林地などの緩衝地帯として残されるに違いない。面積的には広大な地域が自然へと復帰する可能性があると考えられた。強い自然、あるいはあるべき自然とはどのようなものか、そのような自然を再生させる役割を我々生態学者は担わなければならないとの考えが脳裏にあった。どこまでできるか、何ができるか、とりあえず仙台に行ってみることにした。


2 調査地と日程など

 時間的制約のため、空港のある仙台を中心にすることにした。地図を見ると、仙台平野は広大で平坦な地域であり、時折来訪する東北大学のある丘陵地帯とは趣が異なるようであった。この単調さと比較するために、リアス式海岸の東松島、そして東松島から仙台空港までの範囲をレンタカーで概観することとした。
 日程は、2011年10月25・26日である。順路としては、25日の昼過ぎに仙台に到着し、まず若林区海岸付近を来訪し、日没に伴って宿泊地の仙台ガーデンパレスへ、翌朝4時から行動を開始し、高速道路を利用して東松島市の奥松島、大高森の大浜海水浴場へと向かった。その後、松島町の福浦島、瑞巌寺、松島湾、七ヶ浜町、仙台市若林区、仙台空港の順路であった。

3 植物の状況と被害状況
 被害状況に関しては、ある程度片付けが進行した段階における視察であり、また塩分濃度計などの測定機器を持ち込んだわけではないので、確証があるといったものではないことをご了承いただきたい。

a 東松島市大高森
真っ暗の中、ナビにしたがって目的地へと車を走らせる。
途中、ダートとなり、水道管が道路の路肩に埋設せずにそのまま敷設してある。
津波によって被害を受けていることはわかるが、真っ暗でよくわからずに走行する。
朝の5:00頃に最初の目的地にしていた大浜海水浴場に到着した。
山際に街灯が点いているが、そのほかは真っ暗。
車を止めて外に出て見ると、予報通りの強風で、6℃。寒い!!!

とりあえず日の出を待つことにし、東側の海岸である室浜海水浴場に行ってみることにした。
到着して見ると、空が白み始めた。
周囲は家の土台らしきもので、すでに家はない。
しかし、堤防付近には数件の家が見える。海岸まで行ってみることにした。



途中、ネコの鳴き声がする。真っ暗の中では薄気味悪い。
防波堤に出るとネコが擦り寄ってくる。主をなくしたのだろうか。



さて、時間的な流れにこだわらず、次の東松島市宮戸島と仙台市若林区の2地点を中心にまとめて見る。
A.東松島市宮戸島
  @東松島市宮戸島 大浜海水浴場:南側に開いた海岸
  A東松島市宮戸島 室浜海水浴場:東側に面した海岸
  B東松島市宮戸島 里(奥松島縄文村歴史資料館付近):北側に開いた湾
  C東松島市宮戸島 野蒜海水浴場
B.仙台若林区海岸付近
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