ロータリーとトレーラー スイスをバスで移動する中で、ロータリーが気になり始めた。最初は植栽されている植物に注目していたのだが、何のためにロータリーがあるのか?が気になり始めたのである。ロータリーそのものはヨーロッパでは珍しいものではないが、日本ではほとんど見られない交差点形式である。ロータリーについては、 rotary よりも traffic circle; roundabout のほうがよく使われるようで、日本語では円形交差点。 気になり始めたきっかけは、宿泊予定のホテルの前をバスが通り過ぎ、ロータリーで方向転換をしてホテルの前に横付けになったことがきっかけであった。なるほど!バスでも簡単に方向転換できる! 馬車が交通の中心であった時代には、方向転換は簡単ではなかったはずで、ロータリーを使っての方向転換は便利な方法であったであろう。 |
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ロータリーであることを示す道路標識。下の文は、フランス語であり、「あなたには優先権がありません」との意味。優先権がないので、徐行して確認しつつロータリーに進入しなさいという意味であると思われる。 | 半径の大きなロータリーでは中央に樹木などが植栽されている。車は結構速い速度で走っている。 |
小さなロータリーでは植栽は行われていない。見通しに関しては、芝生だけのほうが良好なので、安全性優先であれば芝生ということになるであろう。 | 集落の入り口にあるロータリー。道路が交差しているわけではなく、ただ単にロータリーがあるだけ。これによって集落に入ってくる車はスピードを落とさざるを得ない。安全対策のために後から作ったのではないかと思われた。 |
ロータリーによる交差点では、車両は停止しないので、信号による交差点に比べ効率的である。しかし、交通量が多くなるとロータリーにはいれない状態になるので限界はあるであろう。交通量が多くなると、信号式交差点の方が適しているのではないかと思われる。したがって、ロータリーが適している条件としては、あまり多くの交通量がないことと広い土地がある点を備えていなければならないことになる。 山村でも集落の入り口と出口には必ずといってもよいほどロータリーがあった。十字路や三叉路にはなっていない場所でも、集落の入り口にロータリーが設置してある場所があった。1本の道路が、蛇が卵を飲んだ状態のように、丸く膨れているのである。このような場所では、否が応でも車はブレーキを踏まざるを得ず、減速して注意深く集落へと入っていく事になる。集落内の徐行運転には貢献しているのは確かである。 ネットで調べてみると、ロータリーと信号式交差点の比較では、場合によってはロータリーの方が事故率が高い場合もあるとの事。それはそうかもしれないと思う。中心の円形の島のまわりで合流しつつ、分岐していくシステムでは衝突しやすい場合もあるのかもしれない。丈夫なバンパーの装備が必要ということになる。 |
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小さなトレーラーを牽引している四輪駆動車。トレーラーを牽引するとファミリーカーが仕事車に変身する。 | トレーラーを引っ張っている車にはたくさん出会った。バスも牽引していた。「バスよ、お前もか!」 二階建てバスなので荷物室が本体にはない。トレーラーの中に荷物を満載しているのであろう。 |
高速道路の工事区間で気づいたのであるが、工事機械のほとんどに車が付いており、牽引が可能となっていた。コンプレッサーや工具入れなどにタイヤが付いているし、仮設トイレや現場小屋にもタイヤが付いている。トラックや乗用車で牽引して持ってくるのである。その気で眺めてみると、小型のトラックはもちろんのこと、乗用車の後部にもかなりの確率で牽引装置が取り付けられており、乗用車でもトレーラーを引っ張って農作業に使われていたりする。二階建てバスが荷物を牽引しているし、もちろんトレーラータイプのキャンピングカーは、キャンプサイトではたくさん見かけられる。トレーラーを牽引した状態では、方向転換することは至難の業であろう。牽引車両の普及は、ロータリーの存在と無縁ではないと思えた。 | |
スイスの交通信号:青は人が歩く姿;赤は立っている姿。縦配置は積雪への対応か。 |