備前市 久々井・佐山地域の植生
 岡山県の備前市は、古代の土器である須恵器の製法を受け継いでいる「備前焼」の産地として有名である。備前焼は釉薬をかけず、燃料として使用するマツの灰などによって自然に釉薬をかけた状態になる。
 備前焼はこの地域としては比較的南の地域で発祥し、6世紀頃には佐山地域でたくさんの窯が築かれ、その後次第に北方に移動して現在の伊部付近に落ち着いた。この移動の原因の1つに周辺地域の森林資源が関わったのではないかと考えている。窯の移動していく経路の中で、一度も窯業が営まれなかった地域がある。その代表としてA.久々井地域を、そして比較的長い期間窯業が営まれたB.佐山地域をあげ、概要を提示しておく。

A.久々井 笹尾山の植生
 この地域では備前焼の窯は建設されなかった。昭和23年の航空写真においても強度の痩悪林地となっており、非常に古い時代から森林の再生が不良であったものと考えられる。30年前に調査した時点から、ほとんど植生が成長していない印象がある。樹高50cmほどで、樹齢20〜30年生のアカマツがたくさん生育している。
1.笹尾山(268m)南斜面の植生 2.笹尾山から東に伸びる尾根
 近景にはツブラジイ林が見える
3.笹尾山尾根筋の拡大4.尾根筋の痩悪林地
5.笹尾山尾根筋の拡大6.笹尾山尾根筋の拡大
7.やや成長の良好な山頂部 8.笹尾山の北東斜面
 伐採か、山林火災かは不明であるが、コシダ型の草地となっている
9.山裾のネズが優勢な林分
 アカマツの枯損が著しい
10.山裾の神社林
  ツブラジイの群落が残存している。
B.佐山地域の植生
 この地域では備前焼の窯が多数建設された。燃料資源が比較的豊かであったものと考えられる。
1.佐山地域 南斜面の植生
 マツ枯れがあるものの、アカマツ林として成立している。
2.佐山地域 南斜面の植生(近接)
3.佐山地域 竜王山(222m)の北向き斜面
 コナラ、アベマキと思われる落葉樹が優勢
 部分的には竹林も存在
4.佐山地域 竜王山(222m)の北向き斜面
 南向き斜面に比べて傾斜が急である。

5.尾根筋の落葉樹も生長が良好である。

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