寄島町青佐鼻のウバメガシ群落



 ウバメガシの生育地は一般的に海岸付近の急傾斜地であるが、ここ岡山県浅口郡寄島町青佐鼻のウバメガシ群落は特に急峻な花崗岩の崖に発達している。魚つき保安林に指定されている。



 群落はほぼウバメガシの純林であり、一部にアキニレやフジの生育が見られるが、これらは斜面下部の山足部に拠点を置いている植物であり、本来のウバメガシ群落の構成員ではない。



 ここの傾斜は特に急峻であり、緩やかな場所で60度、急峻な場所では80度近くの傾斜を持っている。基盤の花崗岩が風化している場所では、ざらざらと砂が流れ落ちて、木につかまらなくてはとても登れない。ウバメガシ以外の樹木が生育できるとはとても思えない。生育しているウバメガシは根元から株立ちになっている。伐採されて萌芽したものとは思えない。大きくなると乾燥などによって枯れ込み、根元から再生することが続いているのではないかと思われる。





 ウバメガシは岩盤にも直接生育しており、株元にわずかに土を溜め込んでいる。ウバメガシはこのような強烈な乾燥条件にも耐えて生育が可能な常緑樹であり、乾燥に耐える硬い葉を備えている。

 カシ類の落葉は土壌を豊かにし、地力を高めるといわれている。しかしながらウバメガシの生育地を観察すると、どうもウバメガシは地力を高めているとは思えない。硬い葉が地表を覆い、腐植土が形成されている様子はない。ウバメガシは乾燥には耐えることが出来るが、その代わりにあまり高くなることは得意ではない。したがって、土壌が豊かに発達すると他の樹木が侵入してしまう危険性があり、ウバメガシは積極的には土壌を豊かに発達するような戦略をとっていないのではないかと思えてくる。

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