
ナキリスゲ Carex lenta D. Don
カヤツリグサ科 Cyperaceae
ナキリスゲは湿気のある斜面や山道脇に生育する1年草である.植物体はひざ程度,葉は約5mmで茎より長くなる.秋になると花をつけるが,スゲ属の中でも秋に花を付けるものはナキリスゲ類以外にはない.秋に花を付けたスゲがあればほとんどの場合「ナキリスゲ」と言える.また,花である小穂は頂端に雄花,下に雌花をつける雌雄性の小穂である点も他のスゲ属植物と区別するときには便利である.ナキリスゲは大株になるので採集は少々難しい.うまくすれは左下の標本のように根茎も取れるが,ほとんどが右下の標本のように根元から千切れてしまう.しかも,葉が硬質なので手を切りやすい.硬くて何でも切れそうとのことから和名が「ナキリスゲ」,菜っ葉も切れるスゲ,となった.
日本には北海道を除く,本州,四国,九州に分布する.琉球にもナキリスゲの仲間が分布している.


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