●自然植物園植物目録 
本目録は自然植物園の設立に先だって実施した基礎調査およびその後の調査・研究
活動を通じて確認した種のリストを示したものである.今後さらに補遺を行い,地域の植
物相を明らかにするとともに,野外実習および研究の基礎資料として利用する計画である.
調査地の概要
岡山理科大学自然植物園は岡山市横井上字清水谷に位置しており,自衛隊三軒屋駐屯地
を巡る丘陵地の西側斜面であり,面積は約20ha,海抜は60〜130mの範囲である.気
候的には温暖・小雨を特徴とする瀬戸内気候区に該当する.園内の大半は二次林であり,
一部にヒノキの植林がある.この地域は,元々アカマツの優占するマツ林であったが,近
年急速にマツ枯れ病により大量のアカマツが枯損した結果,コナラ・アベマキなどが優占
する夏緑広葉樹林が最も広い面積を占めている.
植物相
現地調査の結果,シダ植物10科27種,裸子植物2科4種をはじめ合計324種が確認さ
れ,ナツアサドリ,カゴノキ,タカネマスクサなどの特徴的な種の生育も確認された.確認
種数は類似した調査に比べて少ないが,主として園地の中に耕作地や草原が殆ど含まれ
ていないことによると考えられる.園地およびその周辺地域では,開園に前後して様々な
改変が行われたので,将来的には草原生の種や緑化によって導入された帰化種などが
増加するものと考えられる.なお,学名に関してはシダ植物は日本の野生植物シダ編(岩
槻編:1992),顕花植物は新日本植物誌顕花編(大井:1992)、目録の順番は、
APG IV (2016) にしたがった。
補足:調査は平成8年4月であり,平成25年3月現在は蘚類15科30種1変種,シダ植物10科28種,
裸子植物2科4種などあわせて合計440種が確認されている.
平成19年9月5日には,環境省レッドデータブック で「絶滅危惧種IB類」に指定されている腐生植物
「ホンゴウソウ」を発見した.県内では三例目の確認.
尚,平成8年4月以降に追加された植物名は赤色で表示している.
※参考図書
至文堂(新日本植物誌顕花篇)
平凡社(日本の野生植物 木本T・U,草本T・U・V,シダ,日本イネ科植物図譜)
保育社(原色植物図鑑 木本編T・U,草本編T・U・V)
山と渓谷社(野草の名前 春・夏)

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