アベマキ Quercus variabilis Blume  (ブナ科 コナラ属
 アベマキは落葉性の高木で、中部地方から九州の段暖帯の二次林に多い。クヌギに似ているが、樹皮に厚いコルク層が形成される点と葉の裏面に毛がある点で区別できる。岡山の沿岸地帯では、マツ枯れの跡地を回復する主要樹種として、コナラとともに重要である。
アベマキ Quercus variabilis
アベマキの新葉アベマキの葉はやや垂れ下がる傾向があるアベマキの葉アベマキの葉の裏面は毛が密生して白いアベマキの冬芽:若枝には小さな丸い皮目
 アベマキの葉は丈夫でしっかりしており、葉の色は深い緑色で、大きいものでは長さ20cm程になる。葉の表面は光沢があり、太陽の光を反射して輝く様子は、落葉樹でありながら照葉樹的である。葉の裏面には蜜に毛があり、灰白。厚い樹皮とともに乾燥に対する適応と考えることができ、毛がないクヌギとの簡単な区別点。

アベマキの雄花アベマキのドングリアベマキの樹皮アベマキの樹皮;年輪のような筋が見える
 アベマキは「あばたまき」の意味で、樹皮がコルク層の発達によってあばた状になる様子を意味していると言う。樹皮を拡大してみると、年輪のようにコルク層が形成されていることがわかる。岡山地方の地方名が標準和名に採用されたものといわれている。
 コルク層が厚いために薪、木炭、椎茸のホダギとしてはクヌギに劣ると言われている。ワインの栓などに使用するコルクは、地中海沿岸に生育するコルクカシから採取したものであるが、アベマキのコルク層はそれほどは発達しない。第二次世界大戦中から戦後しばらくの間はアベマキのコルクで代用した。多くは一度砕いて糊で固めた粉コルクとして使用した。

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