クスノキ Cinnamomum camphora (L.) Sieb. (クスノキ科 ニッケイ属
 暖地に野生し、しばしば公園や、社寺林に栽培されるクスノキ科の常緑高木。大きく生長し、神社などで神木として崇められている巨樹も多い。常緑樹ではあるが、葉の寿命は1年間で、春に新葉がでる頃に前年の葉は落ちる。新緑の美しい常緑樹である。5月の終わり頃から房状の小さな花を咲かせる。花被片は6枚で、雄しべは12本。果実は秋に黒く熟す。

【注1】ショウノウ(樟脳):クスノキの材を水蒸気蒸留して得られるモノテルペンに属するケトンの1つ。融点は178℃であるが常温でも少しずつ昇華する。この性質を利用して防虫剤と強いて広く使われた。つまり、古典的な「タンスにゴン!」である。クスノキの仲間(ヤブニッケイ等)にはよく似た物質が含まれており、この臭いをおぼえておくと同定に役立つ。九州などでは樟脳を取るために大量に植栽された。
 クスノキの材にこのような物質が含まれているということは、クスノキの材そのものに防虫作用があるということであり、クスノキでタンスを作ると防虫性が高いことになる。神社などに大きく生長したクスノキが見られることがあるが、この防虫作用と長寿であることとは関係が深いであろう。トトロの家は樟脳のおかげに違いない。古代の丸木船の中にはクスノキを使ったものがあるという。大型の丸木船を作るために大木が必要であったことと、腐りにくいことがあったのかも知れない。
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