タブノキ Machilus thunbergii Sieb. et Zucc. (クスノキ科 タブノキ属
 タブノキは常緑の高木であり、日本各地の暖帯林に普通(しかし、岡山県では極少ない種である)。スダジイ林の構成種であるとされ、教科書などではシイ−タブ林として掲載されていることも多い。直径1mを越えるような大木になるが、樹高はシイに比べて高くなることがないので、通常はシイ林の亜高木として生育している。また、シイよりも潮風に強く、海岸ではシイよりも前線に生育するので優占する場所もある。
 一般論としてはこのような話になるのだが、岡山県を中心とする瀬戸内沿岸地帯では生育することが少なく、海岸林を形成することはない。岡山県の分布では、海岸平野には分布が見られず、県中部の吉備高原地域に生育しており、降水量に強く制約を受けていることがわかる。タブノキの生育立地は、重力水のある場所であると表現されることもある。生育に豊富で安定した水分が必要である。近年、公園や街路などに植栽されることも多くなってきたが、おそらく長期にわたって瀬戸内沿岸域において安定的に生育することは困難であると考えられる。
 葉や樹皮には粘性がある。例えば葉柄を切り取ってもう一度ひっつけてゆっくりと離すと、粘液の糸を引く。このような粘着性を利用し、線香の粘結剤として利用されたという。
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