インドゴムノキ  Ficus elastica Roxb.  (クワ科 イチジク属
 インドゴムノキはインド原産の常緑大高木。日本においては、観賞用に広く普及していて、大き目の鉢植えを見ることが多い。原産地では大木になるが、日本では大して大きくならない。育ててみると、気温の高い時期は旺盛に葉を展開していくが、冬には全く生長しなくなる。霜に当たったり、零下の気温には対応できないので、そのような気候の地域では、冬季には屋内へ入れて育てなくてはならない。
 葉は典型的な革質で、ぼてっとして分厚く、表面は滑らかである。形は楕円形で、先端は短く尖る。冬芽は赤く、細長い三角錐である。葉や茎を傷つけると白色で粘り気のある樹液が出る。これをかつてはゴムの原料としたが、現在はほとんど用いられていない。現在、天然ゴムはパラゴムノキという植物から採取する。
 ゴムは金属や木材が持っていない強靭な弾力性を有するため、タイヤ・パッキンなど様々な工業製品に活用されてきた。人類に計り知れないほど貢献した有用植物の一つである。
文章・画像:太田 謙
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