バクチノキ Prunus zippeliana Miq. (バラ科 サクラ属
バクチノキバクチノキの樹皮

 バクチノキは関東地方以西の本州・四国・九州・琉球に分布する常緑高木。温暖な地域では山地に生育するが、乾燥あるいは低温に弱いためか、岡山県では沿岸部にわずかに生育が確認されているのみであり、県の絶滅危惧種に指定されている。

 バクチノキは樹皮が鱗片状にはがれ落ち、その跡が紅黄色のまだら紋様となる。樹皮が剥がれ落ちる様を博打に負けて着物を剥がれるのに例えたという。葉は革質で長さ8〜14cmで葉柄は長さ1cmほどで、1対の蜜腺がある。両面とも無毛で、裏面はくすんだ淡い緑色で、葉の縁は裏面側に曲がり込み、鋭い鋸歯の先端は腺体となっている。サクラ属では、部分的にしろ鋸歯の先端が腺になることが多い。葉は、全体としてセイヨウバクチノキによく似ている。花は9月に咲き、穂状の花序に直径6〜7mmの白い花をたくさん付ける。

バクチノキの葉(上:表面 下:裏面)裏面葉縁の拡大;縁は裏面に回り込み、鋸歯の先端は腺で終わる
葉柄の蜜腺葉柄の蜜腺のほかに、基部の鋸歯先端も蜜腺となっている

 葉柄には1対の蜜腺があるが、幼木では鋸歯の先端が明瞭な腺体となっている傾向があり、幼木ほどアリとの強い関係を構築する戦略であろう。
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