モモ Prunus persica (バラ科 サクラ属
 岡山は桃太郎伝説の発祥の地として有名であり、もちろんモモの名産地の1つである。岡山のモモは白桃であり、花が咲くと花粉をかけ、6月に袋をかけて育てる手間暇のかかったもので、主に贈答用である。産地のど真ん中に生活しているのだが、口にはいることは少ない。
 岡山県の沿岸部は昔からモモの名産地であったように思えるが、意外にもそうではないようである。モモは古くに中国から導入されたもので、当初の果実は小さく、主に花を観賞するものであったという。モモの果実が現在のように大きくなったのは明治初年頃に海外から多数の品種を取り寄せ、交配を重ねて作出した結果である。そのような事を知ると、桃太郎が入っていたほどの大きなモモは、夢というか、絵空事であったということになる。

 岡山がモモの名産地であることの理由として、温暖少雨であるのでモモの糖度があがり、おいしい桃ができる点をあげることができる。雨が少ない瀬戸内海沿岸域の、特に花崗岩地帯の水はけの良い土壌が栽培適地である。収穫前に雨天が続くと水っぽいモモになってしまい、晴天が続くと糖度が高くて甘いモモになる。このような春から初秋にかけての気候的側面とともに、冬の寒さも、実はモモの栽培に大きな影響を与えている。岡山県の沿岸域は海岸に地方を除き、ミカンなどの常緑果樹の栽培に適していない。冬の冷え込みが結構厳しく、放射冷却によって霜害を受けるのである。このような植物生育期の高温・少雨と冬の冷え込みという条件は、常緑果樹でなく、落葉果樹が栽培される大きな要因となっている。
 岡山のもう一つの果樹としてマスカット(マスカット オブ アレキサンドリア)がある。これも落葉であるのも同様な理由である。
種名一覧科名一覧雑学事典目次Top生物地球システム学科